2013/07/25
事例から学ぶ
連絡が取れなくても双方が安心できる仕組み

個人・法人向け銀行業務や投資銀行業務などを展開する世界有数の金融機関のバークレイズは、安否確認・安否報告の目的を「従業員の安全確保」「業務の遂行に必要な人材の確保」「海外本社や地域本部への正確な情報発信」の3点に置く。一般的に安否確認と言えば、会社から従業員に対して行うものというイメージが強いが、バークレイズでは、日本で災害が発生すると、従業員の安否確認と並行して海外本社などにいち早く正確な状況を伝える手順を初動に組み込んでいる。
同社は24時間365日体制で災害、テロ、事件、事故などに対しグローバルな監視体制を敷いており、日本で災害や事故が起きた場合、日本側から一定時間経過しても報告がないと、海外の本社や地域本部が、日本拠点への影響(従業員、設備、ビジネスなど)やサポートの要否などの情報収集に動く。逆に、日本側から本社や地域本部に対して先に報告すれば、こうした情報収集の手間は省けることになる。
そこで同社は、災害時の初動に、拠点としての安否確認・安否報告をワンセットで行うことで、本社、拠点双方の問い合わせ対応の体力を削減し、いち早く本社サイドへのサポート依頼が行える体制を整えている。
ヴァイスプレジデントの佐柳恭威氏は「情報を必要とする側から見た場合、安否確認は(本社が○○に対して確認・報告を行う)“プッシュ型”と、(本社に対し○○が確認報告を行う)“プル型”に分類できる。この2つを組み合わせることが効率的な安否確認・安否報告を行うために有効であり、相互にバックアップの役割も果たすことが可能になる」と説く(図1)。

事例から学ぶの他の記事
おすすめ記事
-
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/05/13
-
「まさかうちが狙われるとは」経営者の本音に向き合う
「困った人を助け、困った人を生み出さず、世界中のデータトラブルを解決します」。そんな理念のもと、あらゆるデータトラブルに対応するソリューションカンパニー。産業界のデータセキュリティーの現状をどう見ているのか、どうレベルを高めようとしているのかを聞きました。
2025/05/13
-
-
-
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2025/05/05
-
企業理念やビジョンと一致させ、意欲を高める人を成長させる教育「70:20:10の法則」
新入社員研修をはじめ、企業内で実施されている教育や研修は全社員向けや担当者向けなど多岐にわたる。企業内の人材育成の支援や階層別研修などを行う三菱UFJリサーチ&コンサルティングの有馬祥子氏が指摘するのは企業理念やビジョンと一致させる重要性だ。マネジメント能力の獲得や具体的なスキル習得、新たな社会ニーズ変化への適応がメインの社内教育で、その必要性はなかなかイメージできない。なぜ、教育や研修において企業理念やビジョンが重要なのか、有馬氏に聞いた。
2025/05/02
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方