大きな問題点は見当たらず 
今回の訓練結果によると、訓練シナリオの被災想定のもとでは、約8割の銀行が対策本部を設置し、首都直下地震であっても、東京都23区以外に本店が所在する銀行も7割超が設置することがわかった。また、東京都23区の営業店舗の開店状況については、9割以上の店舗が開店する銀行」が約6割、「半数以下の開店となる銀行」が約3割と、業務を継続する店舗が多かった。 

停電時の対応については、対策本部と銀行の最重要部署の一つであるインターバンク資金決済部署(金融機関相互の取引に係る資金決済を行う部署)は、8割の銀行に自家発電装置が設置済であった。自家発電機の燃料の備蓄量も「2~3日分程度」以上とする銀行が約6割の結果となり、整備が進んでいるとことがうかがえる。 

要員不足については、インターバンク資金決済部署の要員は、約8割の銀行が「不足しない」としており、「不足する」銀行は2割に留まった。不足した場合の対応としては、他拠点での代行とする割合が高かった。 

一方、営業店舗の要員については、「不足しない」とした銀行は約6割と、多数の営業店舗があることから、インターバンク資金決済部署と比較してやや落ちるものの、「重要業務で不足する」とする銀行は、全体の約1割に止まった。営業店舗の要員が不足する場合は、業務を縮退するとした銀行が約7割を占めた。

今回の訓練を受け、全銀協の中里氏は「今回の訓練のシナリオ状況、かつ、限られた訓練項目においては、銀行界としては相応の態勢が整備されており、抜本的な見直しを迫られるような問題点は見当たらなかった」としている。しかしながら、「個別の訓練結果を見る限りにおいては、各銀行の態勢整備状況には差異が見られ、より一層の態勢強化が必要であると考えられる項目も少なからずあった」としており、「各銀行には、自行のBCPを再点検し、その機能維持のための対策の充実・強化を図ることを期待したい」としている。