国内最大級5万KVAの非常用電源設備 
平常時の電力供給は、東京電力から2系統で受電している。仮に広域での停電が起きたとしても、同時に電力供給が途絶する可能性は極めて低い。

非常用電源設備としては、5000KVAの自家発電機が10基設置可能。重油を燃料とし約60万ℓを常備している。5万KVAの非常用電源設備は国内最大規模という。更に停電発生時には、データセンター全体の電力を一瞬たりとも止めないよう無停電電源装置「UPS」が稼働。UPSが稼働している間に、40秒で自家発電が電源供給約できる体制が築かれている。3日間の自立運転が可能。水冷空調用の水も3日分を確保している。非常用電源対策は、データセンターの生命線とも言えるサーバー冷却用の空調系統の継続稼働に関しても熟慮されている。

コンピュータ室と空調設備を2階層に分離した独自の建築・空調システム
本データセンターでは、斬新な建築方式と空調システムからなる「ダブルデッキシステム」が開発され、特許出願もされている。 

東京第一データセンターには、コンピュータを格納するラックが約2500収容できる。ラックには縦方向に1約3.3㎝の空間に46階層46台のサーバーが入り、さらにこのラックを束ねたものが、フロアーごとに並列している。



通常のデータセンターでは、ラックの下部に40~50㎝程度の電気配線スペースが設けられる形だが、同センターでは、この電気配線スペースを思い切って分離独立する2段構成とした。上階がサーバーラックを置くコンピュータ室で、下階が電気配線や空調設備などを備える設備室。共に軒高は4m。サーバーは下階から冷却する。電気設備や空調のメンテナンスは設備階だけで行える。専門スタッフは設備室にのみの出入りのため、セキュリティー対策の向上とともに、不慮のアクシデントも少なくなる。 

昨今のコンピュータの処理能力の向上は著しく、それによる発熱対策がデータセンターの大きなテーマとなっている。こうした事態を受け、旧来のデータセンターでは、1ラック当たり4kWの直接冷却しか行っておらず、ラックの3分の2が無駄になっていたりするという。これに対し、同センターでは、通常サーバーに対しては8~12kW、高品質サーバーに対しては最大30kWの直接冷却が行える。

斬新な空調設備の採用に際しては、節電(エコ)にも工夫を凝らした。取り組み内容は、①空調効率を高めるインバータ方式、②冬季の冷却水熱交換システム(フリークーリング)③、高温度(既存センターより高い14℃)冷却水使用―の3種類。

ネットワークと人の維持も大切 
通信回線は、異なる通信事業者と回線契約できるマルチキャリア対応をはじめ、通信回線の屋内への引込口も複数準備、更に引込口からコンピュータルームへの配管設備も複数系統を用意し、断線リスク対策も行っている。 

データセンターの性能維持という観点では、現場スタッフの質の保持にも気を使っている。顧客となる外資系企業では、キャリアアップによる転職が当たり前のため、データセンターの質の低下を招きかねない。このため同社では、現場スタッフの雇用の安定維持にも配慮しそれを強味にしようとしている。