2017/08/09
防災・危機管理ニュース

消防庁は8日、「防災行政無線等の戸別受信機の標準的なモデル等のあり方に関する検討会」の第1回会合を開催。高齢者宅などに安全のため設置される戸別受信機の低価格化や、防災行政無線とほかの情報システムとの相互接続などについて話し合われた。機能を限定した戸別受信機の標準的モデルを決め、コスト削減を図っていく方針が示された。
検討会は学識経験者のほか通信機器メーカーや地方自治体の関係者で構成。戸別受信機については高齢者や外国人への伝達、特に屋外スピーカーからの音声が聞き取りづらい大雨で効果があり、2016年3月末の調べで1741市区町村のうち31%の436団体で全戸配布、54%の1428団体で一部配布が行われている。
消防庁では4~5月にかけて1741市区町村に実態調査を行い、1275団体が回答。戸別受信機の機能別ニーズでは回答団体のうち音声受信が94%、商用電源から乾電池に切り替えて使用できる停電時対応は81%が必要と答えた。一方で外部スピーカー接続は25%、外部機器接続は19%などニーズの低い機能もあることがわかった。
この日、戸別受信機の主要な11の機能のうち、放送の録音再生機能、3種類の乾電池への対応、外部スピーカー接続、外部機器接続の4機能を外し、標準的なモデルとする方針が示された。11月にモデルを正式に決定する予定。機能を絞った戸別受信機の量産化で低価格化を図る。
防災行政無線と緊急速報メールなどほかの情報システムを接続することで、自治体職員の入力作業が1度で済むといった効率化が図れる。宮城県仙台市では一元管理システムを導入しており、消防局の津波情報伝達システムや緊急速報メール、ツイッターといった7つの情報発信ツールによる発信が1度で済むようになっている。検討会では防災行政無線の入力インターフェースの規格化についても進めていく。
(了)
リスク対策.com:斯波 祐介
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
入居ビルの耐震性から考える初動対策退避場所への移動を踏まえたマニュアル作成
押入れ産業は、「大地震時の初動マニュアル」を完成させた。リスクの把握からスタートし、現実的かつ実践的な災害対策を模索。ビルの耐震性を踏まえて2つの避難パターンを盛り込んだ。防災備蓄品を整備し、各種訓練を実施。社内説明会を繰り返し開催し、防災意識の向上に取り組むなど着実な進展をみせている。
2025/06/13
-
「保険」の枠を超え災害対応の高度化をけん引
東京海上グループが掲げる「防災・減災ソリューション」を担う事業会社。災害対応のあらゆるフェーズと原因に一気通貫の付加価値を提供するとし、サプライチェーンリスクの可視化など、すでに複数のサービス提供を開始しています。事業スタートの背景、アプローチの特徴や強み、目指すゴールイメージを聞きました。
2025/06/11
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/06/10
-
その瞬間、あなたは動けますか? 全社を挙げた防災プロジェクトが始動
遠州鉄道株式会社総務部防災担当課長の吉澤弘典は、全社的なAI活用の模索が進む中で、社員の防災意識をより実践的かつ自分ごととして考えさせるための手段として訓練用のAIプロンプトを考案した。その効果は如何に!
2025/06/10
-
-
緊迫のカシミール軍事衝突の背景と核リスク
4月22日にインド北部のカシミール地方で起こったテロ事件を受け、インドは5月7日にパキスタン領内にあるテロリストの施設を攻撃したと発表した。パキスタン軍は報復として、インド軍の複数の軍事施設などを攻撃。双方の軍事行動は拡大した。なぜ、インドとパキスタンは軍事衝突を起こしたのか。核兵器を保有する両国の衝突で懸念されたのは核リスクの高まりだ。両国に詳しい防衛省防衛研究所の主任研究官である栗田真広氏に聞いた。
2025/06/09
-
危険国で事業展開を可能にするリスク管理
世界各国で石油、化学、発電などのプラント建設を手がける東洋エンジニアリング(千葉市美浜区、細井栄治取締役社長)。グローバルに事業を展開する同社では、従業員の安全を最優先に考え、厳格な安全管理体制を整えている。2021年、過去に従業員を失った経験から設置した海外安全対策室を発展的に解消し、危機管理室を設立。ハード、ソフト対策の両面から従業員を守るため、日夜、注力している。
2025/06/06
-
福祉施設の使命を果たすためのBCPを地域ぐるみで展開災害に強い人づくりが社会を変える
栃木県の社会福祉法人パステルは、利用者約430人の安全確保と福祉避難所としての使命、そして災害後も途切れない雇用責任を果たすため、現在BCP改革を本格的に推進している。グループホームや障害者支援施設、障害児通所支援事業所、さらには桑畑・レストラン・工房・農園などといった多機能型事業所を抱え、地域ぐるみで「働く・暮らす・つながる」を支えてきた同法人にとって、BCPは“災害に強い人づくり”を軸にした次の挑戦となっている。
2025/06/06
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2025/06/05
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方