LPGコージェネで災害時に1カ月自立生活


LIXIL住宅研究所

建材・住宅設備機器業界最大手のLIXILグループで、アイフルホームなどのフランチャイズ住宅を手がけるLIXIL住宅研究所は先月、国土強靭化政策としても話題になっている“回復力”を指す言葉を名前に冠したコンセプト住宅「レジリエンス住宅」を発表した。来春発売予定。大震災のような災害時にも1カ月の自給自足の生活を可能にするとともに、平時から家族が健康で快適に暮らせて災害時にも丈夫な身体で臨める住宅がコンセプト。災害時のエネルギー確保は、自立性の高いプロパンガスによるコージェネレーションシステムと太陽光発電の設置が標準仕様。健康な心身をつくるアイデアは、4人の女性専門医による健康医学的な知見を汲み上げ、女性建築家がこれを総合プロデュースしてまとめあげた。

同社は、北海道から九州まで全国40の都道府県に3ブランドのフランチャイズ住宅を展開する。直近の年間完工棟数は4700棟(2012年度実績)。10月に発表した「レジリエンス住宅」は、同社が14番目のコンセプトホーム「CH14」として、東京都江東区にオープンさせた。 

レジリエンス住宅のベースになっているのは、同社が過去に手がけてきたスマートハウスと子供に優しい住宅のキッズデザイン。ここに今回考案した先進のアイデアを盛り込んだ。電気は1週間、都市ガスは2カ月不通 いざ、大震災が起きた場合に電気、ガス、水道、下水道等のライフラインが受けるダメージは相当大きい。同社広報・宣伝部によると、阪神淡路大震災、新潟県中越地震、東日本大震災においては、次のような復旧日数を要したという。電気については、阪神が7日、中越12日、東日本が98日。都市ガスは、阪神84日、中越64日、東日本が57日。水道と下水道はそれ以上に長引く。電気については、津波被害のあった東北は例外にして、津波被害がない場合は1週間程度、ガスも2カ月ぐらい不通になるとしている。 

こうした現実に対し、同社が従来からスマートハウスとしてきた企画住宅においては、4kW程度(60~70万円)のリーズナブルな蓄電池を設けていたが、そうした設備機器で連続運転できるのはわずか3時間ほど。これでは災害時には対応できない。そこで、いかにコストをかけずに実現性があり、ライフラインが途絶える災害に対応するのかを検討した。

LPGコージェネは160万で設置可 

同社が導き出したのは、震災後1カ月間自給自足できる家。熱源には、経済性や災害対応力の高さから、プロパンガスによるコージェネレーションシステム(発電と給湯)を主力にすることにした。太陽光発電は、蓄電池が無いと夜間に対応できないし、蓄電池は200万円ほどと高い。

 
都市ガスのコージェネは、都市ガスの供給がストップすると使えない。エネファームは200万円ほどするため、経済性の観点から除外した。これに対し、タンクローリーで配給するバルク貯蔵タンクとガスコージェネは合せて160万円ほどと安価。 

レジリエンス住宅では、住宅で生産するエネルギーと消費エネルギーを相殺ゼロにする省エネ住宅のゼロエネルギー住宅が標準仕様。太陽光発電システムを標準で搭載する。建物の断熱機密性能も東北北部地方並みに高めた仕様としている。