史上例を見ない甚大な被害を引き起こした福島第一原子力発電所事故。東京電力ではその過ちを二度と繰り返さないよう、抜本的な危機管理体制の見直しを進めている。

メディアとして原発推進の肩を持つつもりはない。原発が今の状態で十分安全と考えているわけでもない。しかし、原発事故再発防止に向けた同社の改善の取り組みの中には、多くの組織に共通して求められる危機管理の本質的な要素が凝縮されている。

原子力施設を運営する事業者と一般企業などの組織とでは、リスクの大きさがあまりに違いすぎるとの指摘もあろう。しかし、緊急時における組織体制や組織間の連携、情報の共有、意思決定のプロセスなどは、どのような組織でも基本的なフレームは変わらない。同社の取り組みから学び取れるものは多いはずだ。

改革6本の柱
「安全神話」負の連鎖を断ち切る

米国を参考に構築した緊急時の組織 
1人の人間は5人しか管理できない

市民目線を重視
レピュテーションを支える戦略部隊

原発はどこまで安全になったか
新規制基準の高いハードル

Interview 在日米陸軍統合消防本部次長 熊丸由布治氏
東京電力の危機管理を変えたインシデント・コマンド・システム

Interview 九州大学大学院医学研究院先端医療医学部門災害・救急医学助教 永田高志氏
事前の備えなくしてICSは機能しない 訓練を通じて互いの理解を

東京電力の教訓を生かした危機管理・BCPへの期待