――一方で、うまくいったと思うことはありますか。
床下の乾燥を被災直後から開始しました。この時、あえて床を壊さない方法を選択。これは私にとって一つの「チャレンジ」でした。

浸水した住宅は、床を壊して床下を乾かすのが一般的です。工務店からも「床を壊そう」といわれました。しかし床を壊して空気をかくはんすると、汚染物質を建物内に引き込んでしまうのではないか、そのことを心配しました。

床下送風ファンの設置

そのため1階和室の一部を丸ノコでカットして点検口を設け、そこに大風量のダクトファンを設置、室内から床下空間に向けて24時間の送風運転を行いました。ダクトファンに近い換気口は塞ぎ、外部の風圧力を軽減するため換気口に板を立てかけました。

こうして被災直後から約3週間、強制通風を実施。写真は被災4日後と16日後の床下の状況ですが、約1センチ堆積していた泥は表面が乾燥しました。

被災4日後の床下空間(上)と被災16日後の床下空間

なお、建物はおさえコンクリートのないベタ基礎で、地盤に防湿シートを敷設した上におさえの砂がありました。防湿シートの保護を優先したため、泥のかき出しは行っていません。また床下の消石灰散布も、後の床下作業を阻害する要因になること、地面表面にカビが発生した時に目視確認しにくいことを懸念し、行いませんでした。床下の断熱材はポリエチレン系ボードだったため、あえて除去せず、経過観察を行いました。

そして被災3週間後からは、床下排気の換気システムに切り替えました。強制通風は音がうるさいためです。

床下送風ファンの設置

換気システムの機器風量は、室内空間の換気回数0.5回/時、床下空間の換気回数5回/時になるように選定。すでに被災直後に発注し、10日後に大工・電気工事を実施、3週間後から運転を開始しました。

この時点で切り替えた理由は、地面表面が乾いたこと、11月になって外気温が低下してきたため換気熱損失を少なくしたかったことによります。

――浸水した住宅の復旧手順・方法で課題となることは何ですか。
浸水被害を受けた住宅の復旧に関しては、多くの課題があると思います。特に「汚染空気の拡散による健康被害」「部分的に乾燥が進まない箇所の発生」「避難生活になってしまうことによるストレス」「修理費用の増加」という4点については、検討・改善の余地が大きいと感じます。

私の場合、壁など一部の部位は対応が後手に回りましたが、床下乾燥は初期段階で着手し、うまく乾燥ができました。また床の解体をしなかったことで、改修費用の増加や改修中の引っ越しを回避でき、被災生活の負担を低減できたと思います。

もちろん、すべてのケースで床が残せるわけではありません。ただ、床を残しての復旧は「チャレンジ」する価値はあると思います。