3.シナリオの作成 
ここから、訓練のシナリオの作成をすることになりますが、前提として、目的や目標、範囲と照らし合わせ、どのような訓練の手法を用いるのが効果的かをまず決定することが重要です。例えば、初動対応で、安否確認の確実な達成だけを目標とするなら、シナリオを作るまでもなくドリルのように定期的に行うのでもいいでしょう。

初動として24時間以内の対応をすべてシミュレーションして確認するとなれば、それに応じた想定シナリオをつくる必要があります。また、訓練途中で、参加者の対応によって、シナリオを変更していくようなロールプレイング型なら、複数のシナリオ案を事前に用意するなど、より高度な作業が求められます。 

一般的なシミュレーション訓練については、まず被害想定などの前提条件を決定することが求められます。例えば、「首都直下型のマグニチュード7の地震が冬の平時の午後2時に発生した」といった具合です。その際、建物やライフライン、交通、人的被害などについても想定を算出します。過去に実際に起きた事例を参考にすると分かりやすいでしょう。この際、発生の場所や、時刻、状況の経過と変化なども考慮しておきます(図5)。 

いきなり大きな想定にしてしまうと、電話もメールもつながらない、交通機関が止まっていて会社に来られないなど、参加者の描く被災イメージとかい離を起こしますので、あくまで目標を達成できるようなレベルを設定することがポイントです。 

シナリオの作成は、予定している訓練のタイムテーブル上に、誰が、いつ、何をするのか、訓練の目標としている評価項目を落とし込むことから始めます。例えば安否確認なら「災害対策本部が発災直後から」となります。被害状況の確認なら「復旧チームが30分後から1時間後まで」、といったように、訓練計画シートにまとめた目標をすべて評価できるよう落とし込みます(図6)。 

次に訓練中の参加者に対して付与する情報をまとめます。 

訓練の内容によって異なりますが、実際の災害では最初から被災状況が把握できているはずがなく、時間の経過によって、少しずつ明らかになっていきます。同じように、訓練では、どのタイミングで、どのような情報を出すかを決めておきます。発災時なら、〇時〇分、〇〇市で、マグニチュード7の地震が発生。震度6強を記録したのは〇市、〇市、6弱が〇市、〇市…など。 

また、30分ぐらいたてば次第に被害状況も把握できてくるでしょうから、〇市一帯が停電、〇市では〇〇線の道路が崩壊、自社施設は〇〇が大きな損害なし、などです(図7)。