2020/09/15
危機管理担当者が最低限知っておきたい気象の知識
土砂災害の「過程」と情報の対応
次に土砂災害の「過程」と情報との対応を見てみましょう。土砂災害の「過程」は、「土砂に影響するような大雨が降る」→「地盤が緩んで災害が起こりそうになる」というものでした。
「土壌中の水分量が増え過ぎて土砂災害がいつ起こってもおかしくない状況」は、大雨特別警報(土砂災害)や土砂災害警戒情報などさまざまな情報が対応しています。「土砂災害に結びつくような大量の雨が降り危険性が高まる」のは、大雨警報(土砂災害)の危険度分布の赤色(「警戒」の意味)や黄色(「注意」の意味)などに加え、先ほど河川洪水のところで触れた「気象情報」や大雨警報(土砂災害)などに現れてきます。

土砂災害のように一つの状況に対応する情報が複数ある場合、それぞれの情報の意味や情報発表のタイミングがどう違うかを細かく見ていくと、より何の情報を参考とすべきかが明確になると思います。
例えばレベル5相当に位置付けられている「大雨特別警報(土砂災害)」は、その地域として過去最大級の土砂災害が起こり得る状況が見込まれるときに発表されるものです。タイミング的な面では、すでに大規模な被害が発生していてもおかしくない状況に該当します。大雨警報(土砂災害)の危険度分布の濃い紫色も、過去に土砂災害が発生した状況と同じ状況にすでに達していることを示します。
一方、レベル4相当の「土砂災害警戒情報」や大雨警報(土砂災害)の危険度分布の薄い紫色は、過去にその自治体内で土砂災害が発生した状況に2時間以内に至りそうなときに発表されるもので、特別警報や危険度分布の濃い紫色に比べて多少のリードタイムが取れる可能性があることが分かります。
河川洪水の場合も発表される情報の種類は多いので、特に見逃してはいけない「過程」やそれに対応する情報をぜひ理解しておいてください。河川が今にも決壊しそうな状態や土砂災害が起こりそうな状況などは情報の中に異常シグナルとして現れます。「過程」を先に整理することを糸口に、警戒レベルなどで現れる情報を自分のものとしていきましょう。
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