大雨に伴い災害対策本部を立ち上げた時には、雨量や河川水位の状況をホワイトボード等に転記するなどの対応を取られることがあると思います。今回の記事では、そうした実況値を書き出す際に「ある数値」も併記し、比較できるようにしておくメリットをお伝えします。

実況値と予測値で「想定外」に早めに気づく

実況値を記録する際に同時に見比べたい「ある数値」とは、予測値のことです。雨量であれば1時間の最大雨量や24時間の見込みなど、河川の水位であれば予測された水位です。

実況値と予測値を併記する最大のメリットは、予測通りに実況が進展しているか把握しやすくなる点にあります。雨の降り方によっては雨量や水位などの実況値が予測値を大幅に上回ることがあります。特に線状降水帯やゲリラ豪雨などの場合は予測がかなり過少であるケースが少なくありません。予測値と実況値の両方を見られるようにしておくことで、当初の予測を上回る「想定外の事態」が進行していることにいち早く気づくことができます。

図1:水位の実況値を書き出した例。予測値と比較できるように工夫しておくと状況の悪化が把握しやすい。(出典)総務省消防庁作成「平成 30 年度の災害を中心とした事例集」より引用 https://www.fdma.go.jp/relocation/e-college/movie/03senmon/07sityouson/03H30saigaijireisyu.pdf

雨量でも水位でも予測値を上回る事態に直面した場合には、実況をもとに対応を強化していきましょう。気象台や河川管理者も予測を更新するはずですが、解析や情報の作成等で一定の時間を要するため、更新を待っていると強化に当てられる時間が短くなる可能性があります。