2017/10/26
防災・危機管理ニュース

東京都は25日、「都立病院医療安全推進委員会」の今年度第1回会合を開催。2016年度インシデント・アクシデントレポートの集計結果を公表した。8都立病院における2016年度の日常診療の場での「ヒヤリハット」事例である「インシデント」と、患者に変化が生じ、治療や処置を要した「アクシデント」は計2万6107件で前年度比7.4%増だった。8病院の総病床数は4997床で、1病床あたりのレポート数は7.2%増の5.22件。
レポート数はインシデントが全体の95.1%の2万4833件、アクシデントが4.9%の1274件でインシデントが圧倒的に多いが、インシデントは前年度比6.2%増、アクシデントは38.0%増でアクシデントの増加が大きい。
レポート総数2万6107件の事象内訳は、誤投与や飲み忘れ・飲み違いといった「薬剤」が32.2%、「転倒・転落」が15.0%、点滴やチューブが外れる「抜去」が13.7%。「薬剤」は外科系で35.3%、内科系で35.9%と最多だが、精神科系の最多は「転倒・転落」で23.0%。診療科別の事象内訳は外科系が最多で34.2%、次いで内科系33.1%、精神科18.2%、小児科12.6%。職種別のレポート提出で圧倒的に多いのは看護師で85.2%。病院職員全体の6割を占め、日常的に患者と接する機会が多いのが理由。
報告された事象例としては、錠剤をアルミとプラスチックで挟んで包装するPTPシートを誤飲しのどに詰まらせた、同姓の患者を誤ってCT撮影した、食事に含まれていたミニトマトをのどに詰まらせた―といったことが紹介された。ミニトマトの場合、患者の食事は一口大でオーダーされていた。ミニトマトは滑ってかみにくいが、2~3cm大のためそのまま提供されていたという。
(了)
リスク対策.com:斯波 祐介
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
エマージング・リスクにどう備える1組織だけでなく、社会としての対応が必要
エマージング・リスク(emerging risks:新興リスク)と呼ばれる、これまであまり認識されていなくて急に出現するようなリスクへの関心が世界的に高まっている。10月にはエマージング・リスクの国際規格「ISO31050」が発行された。今なぜエマージング・リスクへの関心が高まっているのか、組織はどう対応していけばいいのか、日本リスクマネジメント学会(理事長:亀井克之関西大学教授)関東部会の会合で、会員に聞いた。
2023/12/02
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2023年11月28日配信アーカイブ】
【11月28日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:今こそ学び直す!南海トラフ地震臨時情報 その1
2023/11/28
-
東京都がオールハザード型Step.1を公表
東京都は11月24日、都政BCPを改定した「オールハザード型Step.1」を公表した。これまで主に首都直下地震を想定してきたが、東部低地帯における大規模風水害、島しょ地域での南海トラフ地震による津波被害、火山噴火、中規模な災害など、災害の事象や規模によって対処方法は多岐にわたることなどから、柔軟に対応できるBCPに改定した。これに併せて、被害の実態に即した執行体制を構築することで、災害対応力も一層向上させるという。
2023/11/27
-
南海トラフ地震臨時情報への理解と対応
リスク対策.com はこのほど、気象庁が2019年5月31日から運用を開始している「南海トラフ地震臨時情報」について、企業がどの程度理解し、対応を検討しているかなどを明らかにするため、アンケート調査を実施した。その結果、臨時情報の内容については概ね理解がされているものの、対応について検討したり、具体的な計画を策定している企業は一部にとどまることが明らかになった。
2023/11/26
-
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2023年11月21日配信アーカイブ】
【11月21日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:防災・事業継続力を可視化する
2023/11/21
-
-
従業員の自助力高め現場主導型に運用を転換
大手自動車メーカーの日産(神奈川県横浜市、内田誠社長)は、複雑化する操業リスクにBCPで立ち向かっている。事業再開のベースとなる従業員の自助力の強化に取り組み、継続したロールプレイ訓練で課題を繰り返し洗い出す。懐襟を開いたコミュニケーションでサプライヤーの意欲を高めている。
2023/11/16
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方