2020/12/02
非IT部門も知っておきたいサイバー攻撃の最新動向と企業の経営リスク
自発的な行動によるもの
冒頭で述べた通り、最終的には2,000万ポンド(およそ30億円)もの制裁金が科されることとなった。当初の1億8,339万ポンドから実質上、大幅な減額が行われたことになる。
また、今後制裁の対象となってしまう企業にとっては教訓や参考とはなりにくいが、今回は新型コロナウイルスに伴う経済的影響も考慮されており、当初の制裁金額から400万ポンド(およそ5億円)の減額へとつながっている。国内外の一部メディアでは「新型コロナウイルスによって制裁金が減額された」というキャッチーな話題ばかりを前面に押し出したものもあるが、「なぜ」減額に至っているのかの本質を見誤ってはいけない。 もちろん400万ポンドという金額の大きさはあるが、大幅な減額をもたらした主たる要因というわけではない。
2018年には大手ソーシャルメディア「LinkedIn」が入手したメールアドレスに関して、アイルランドの監督当局への苦情申し立てが発生したことがある(*2)。その際、同社では苦情を引き起こすこととなった処理を停止し、英監督当局が科したGDPR施行前の個人データも削除するなど、対応を行った。自発的に行動し誠意ある対応を示すことで、制裁金などの罰則を受けていない好例だ。
厳格な個人データ保護法は欧州だけでなく、米国でも一部の州で既に始まっており、日本でも今年6月の改正個人情報保護法など徐々に厳しくなってきている。巨額の制裁金などセンセーショナルな話題にフォーカスしてしまいがちではあるが、これらに対する「あるべき姿」も徐々に浮かび上がり始めている。引き続き注視していかなくてはならない。
ちなみに、大幅な減額がされたとはいえ、本稿執筆時点において同社に科された制裁金額はいまだに英監督当局によるGDPR最高額となっている。
本連載執筆担当:ウイリス・タワーズワトソン Cyber Security Advisor, Corporate Risk and Broking 足立 照嘉
出典
*1 https://ico.org.uk/about-the-ico/news-and-events/news-and-blogs/2019/07/ico-announces-intention-to-fine-british-airways/
*2 https://jp.reuters.com/article/idJP00093300_20190204_00320190204
非IT部門も知っておきたいサイバー攻撃の最新動向と企業の経営リスクの他の記事
おすすめ記事
-
-
-
防災は面白くないと広がらない
地震が起きたとき、スマートフォンに通知された情報を頼りに避難を判断することが多いだろう。緊急地震速報の情報から、いまどのように動くべきかを判断できる、そんな身近な危機管理を習慣づけた1 社が、アールシーソリューション(東京都新宿区)だ。2010 年に提供開始したスマートフォンアプリ「ゆれくるコール」は、緊急地震速報を受信できるアプリとして多くのユーザーが利用している。代表取締役の栗山章さんは、数多くのユーザーに防災の重要性を広めてきた一方で、ビジネスとして成り立たせる難しさにも直面してきたという。これまでのサービス開発の経緯や、防災ビジネスへの価値観を聞いた。
2026/09/09
-
被災施設への再入場判断「戻ってはいけない」では解決しない避難後の問題
大地震が発生し、安全な場所へ避難して一息つくと、人々には「ひとまず危険のピークは過ぎた」という根拠なき安心感が芽生える。そして、さまざまな理由で「避難してきた場所に戻りたい」といった気持ちが生じる。しかし、被害がどの程度なら戻ってよいのかについての明確なルールや事例は、どこを探してもあまり見当たらない。 国には応急危険度判定という仕組みや、施設管理者が建物を緊急点検するための指針などもある。が、これらは避難直後の「戻りたいニーズ」に応える仕組みではない。ここに、避難直後の「再入場」という古くて新しい問題がある
2026/09/09
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2026/09/08
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2026/09/07
-
-
-
暗黙知を形式知へ、10年の徹底改善が生きた
熊本市の工務店・新産住拓株式会社(小山英文社長)は、2016年の熊本地震や近年相次ぐ豪雨災害を通じて災害対応を磨き上げてきた。発生当日は、約3割の社員が定休日で社長も不在という条件下にもかかわらず、地震発生から50分で社員の安否確認をおおむね完了し、2時間後にはホームページや顧客専用サイトで被害受付を開始した。
2026/08/24
-





※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方