2017/12/05
防災・危機管理ニュース

東京都は1日、「東京都医療審議会」の今年度第3回会合を開催。2018~23年度までの第6次東京都保健医療計画の素案をまとめた。今月パブリックコメントの募集を実施する。災害時拠点病院の耐震化やBCP(事業継続計画)策定といった災害医療や救急についても今後の取り組みを盛り込んでいる。
都内に80カ所ある災害拠点病院については、数値は定められていないが増加を目指す。同病院の耐震化率は4月現在92.5%。この100%化を次期計画期間で目指す。BCP策定率は4月現在91.3%で、さらなる策定を目指す。災害時拠点病院における複数の通信手段の確保率は2016年度調査で76.3%、EMIS(広域災害救急医療情報システム)などを活用した訓練を実施している救急告示医療機関の割合は3月現在で61.6%にとどまっており、いずれも100%を目指す。
現在は行われていない広域医療搬送を想定した訓練の実施を年1回行う。東京DMAT(災害医療派遣チーム)の隊員数は3月1日現在1097人で、今後も1000人規模を維持。東京DMATに対するNBC(核・生物・化学)災害への研修や訓練で対応を強化する。災害時の医薬品供給体制強化へ、医薬品卸売業者の車両の一部を緊急通行車両として事前登録するほか、災害時優先携帯電話や業務用無線を用いた通信訓練も定期的に実施する。
救急では2016年の救急患者搬送数が2011年比8.3%増の69万4749件。高齢者の占める割合は4.2ポイント増の50.1%となっている。高齢者への対応強化として、保健・医療・介護の連携を推進。かかりつけ医を持たせたるほか、高齢者の具合が悪くなった際はかかりつけ医や高齢者施設の関係者が連携し、円滑な対応を目指す。また退院後に在宅医療に移行できるよう退院支援マニュアルの活用の促進や退院調整人材の調整を進める。救急相談センター(電話#7119)の認知度は2016年現在53.8%、利用件数は15万2145件で、前年比4.5%増。救急車利用減へ認知度向上と利用促進を図る。
(了)
リスク対策.com:斯波 祐介
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
-
-
「ビジネスイネーブラー」へ進化するセキュリティ組織
昨年、累計出品数が40億を突破し、流通取引総額が1兆円を超えたフリマアプリ「メルカリ」。オンラインサービス上では日々膨大な数の取引が行われています。顧客の利便性や従業員の生産性を落とさず、安全と信頼を高めるセキュリティ戦略について、執行役員CISOの市原尚久氏に聞きました。
2025/06/29
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/06/24
-
-
-
柔軟性と合理性で守る職場ハイブリッド勤務時代の“リアル”な改善
比較サイトの先駆けである「価格.com」やユーザー評価を重視した飲食店検索サイトの「食べログ」を運営し、現在は20を超えるサービスを提供するカカクコム(東京都渋谷区、村上敦浩代表取締役社長)。同社は新型コロナウイルス流行による出社率の低下をきっかけに、発災時に機能する防災体制に向けて改善に取り組んだ。誰が出社しているかわからない状況に対応するため、柔軟な組織づくりやマルチタスク化によるリスク分散など効果を重視した防災対策を進めている。
2025/06/20
-
サイバーセキュリティを経営層に響かせよ
デジタル依存が拡大しサイバーリスクが増大する昨今、セキュリティ対策は情報資産や顧客・従業員を守るだけでなく、DXを加速させていくうえでも必須の取り組みです。これからの時代に求められるセキュリティマネジメントのあり方とは、それを組織にどう実装させるのか。東海大学情報通信学部教授で学部長の三角育生氏に聞きました。
2025/06/17
-
-
入居ビルの耐震性から考える初動対策退避場所への移動を踏まえたマニュアル作成
押入れ産業は、「大地震時の初動マニュアル」を完成させた。リスクの把握からスタートし、現実的かつ実践的な災害対策を模索。ビルの耐震性を踏まえて2つの避難パターンを盛り込んだ。防災備蓄品を整備し、各種訓練を実施。社内説明会を繰り返し開催し、防災意識の向上に取り組むなど着実な進展をみせている。
2025/06/13
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方