冒頭、挨拶する小此木担当相(手前左から2人目)

内閣官房は10日、国民の生命と財産を守るためのあらゆる国家的リスクに対して省庁横断で対応策を考える「ナショナル・レジリエンス懇談会」の第38回会合を開催。2019年度に予定されている次期国土強靭化基本計画の策定に向け、想定する45の「起きてはならない最悪の事態」を回避するための7つの施策プログラムについて、有識者委員を交えたワーキンググループ(WG)での「脆弱性評価結果」を総括した。

7つのWGのテーマと幹事省庁は以下の通り。「避難や危機管理関連」(幹事:内閣府)、「消防や情報関連」(総務省)「食料や農地・山林関連」(農林水産省)、「エネルギーやコンビナート関連」(経済産業省)、「耐震化や交通・国土保全関連」(国土交通省)、「医療や健康・衛生環境関連」(厚生労働省)、「復興関連」(復興庁)。

このうち、「エネルギーコンビナート関連」WGでは、民間企業のあいだで、災害時でも事業活動を停止させないBCP(事業継続計画)策定が遅れていること。とりわけ中小企業では平時の経営に精一杯で、非常時対応に投資を向けられないジレンマがあることが課題に挙がった。

「耐震化や交通・国土保全関連」WGでは、交通まひが及ぼす損害が大きい点を踏まえて、代替性のある幹線道路網、高速鉄道網、アクセス道路の確保の重要性が改めて指摘された。

「医療や健康・衛生環境関連」WGでは、大規模災害時には医療需要に対して医療関係者・施設・医薬品などの供給が圧倒的に不足する事態が想定されることから、定量的な議論が不可欠であると指摘があった。また医療現場で必須となる衛生的な水の確保についても問題提起された。

小此木八郎・防災担当大臣は冒頭「災害に強くしなやかな国づくりのために、皆さんの力を借りて基本計画の見直しを進めていきたい」と述べた。会では2019年に新たな「国土強靭化基本計画」の閣議決定を目指し、4月までに脆弱性評価の指針について素案を決定する予定。

(了)

リスク対策.com編集部:峰田 慎二