2021/03/29
非IT部門も知っておきたいサイバー攻撃の最新動向と企業の経営リスク
通知に関するガイダンス
上で述べた通り、2021年1月にEDPBよりデータ侵害通知に関するガイドラインのドラフトが公表されている*5。このガイドラインでは、GDPR施行以降における監督当局の経験から、データ侵害のリスクに対応してデータ管理者が評価することを支援するということを目的としている。
その内容は、「ランサムウェア」「データ漏洩」「内部の人的リスク」「デバイスやドキュメントの紛失または盗難」「メール関連の違反」「ソーシャルエンジニアリング」の6つのテーマに分かれており、それぞれについて以下の内容を体系に示している。
- ・個人データを保護し、侵害を防ぐためにデータ管理者によって実施された措置
- ・違反を取り巻く状況
- ・上記の要因に基づく結果として生じるリスク
- ・データ管理者が実行する必要のある手順
- ・データ管理者のその後の義務
実際に、データ侵害の被害に遭われた場合の対応のガイダンスとしてだけでなく、平時におけるトレーニングなどの際にも、関心のあるテーマから参照して活用してもいいだろう。
もしこれらの具体的な内容について解説してほしいというご要望があれば、弊社までお問い合わせください。ご要望が多い場合は、今後のニュースレターのどこかで、いくつかの事例を取り上げながら触れていきたい。
また、一部の監督当局では、組織がデータ侵害に関連するリスクを評価および認定することを支援するために、ガイダンスと指標を提供している。ドイツの監督当局(DSK)からは、リスク評価の過程で組織が実行すべきさまざまな手順を説明したガイダンス*6も提供されているため、必要に応じて参照してもいいだろう。
非IT部門も知っておきたいサイバー攻撃の最新動向と企業の経営リスクの他の記事
おすすめ記事
-
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/07/01
-
-
-
「ビジネスイネーブラー」へ進化するセキュリティ組織
昨年、累計出品数が40億を突破し、流通取引総額が1兆円を超えたフリマアプリ「メルカリ」。オンラインサービス上では日々膨大な数の取引が行われています。顧客の利便性や従業員の生産性を落とさず、安全と信頼を高めるセキュリティ戦略について、執行役員CISOの市原尚久氏に聞きました。
2025/06/29
-
-
-
柔軟性と合理性で守る職場ハイブリッド勤務時代の“リアル”な改善
比較サイトの先駆けである「価格.com」やユーザー評価を重視した飲食店検索サイトの「食べログ」を運営し、現在は20を超えるサービスを提供するカカクコム(東京都渋谷区、村上敦浩代表取締役社長)。同社は新型コロナウイルス流行による出社率の低下をきっかけに、発災時に機能する防災体制に向けて改善に取り組んだ。誰が出社しているかわからない状況に対応するため、柔軟な組織づくりやマルチタスク化によるリスク分散など効果を重視した防災対策を進めている。
2025/06/20
-
サイバーセキュリティを経営層に響かせよ
デジタル依存が拡大しサイバーリスクが増大する昨今、セキュリティ対策は情報資産や顧客・従業員を守るだけでなく、DXを加速させていくうえでも必須の取り組みです。これからの時代に求められるセキュリティマネジメントのあり方とは、それを組織にどう実装させるのか。東海大学情報通信学部教授で学部長の三角育生氏に聞きました。
2025/06/17
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方