2021/03/31
組織の生産性を上げるエンタープライズ・リスクコミュニケーション
今回取材に応じてくれた、新日本プロレスの棚橋選手はこう振り返ります。
” プロレスという競技は、常に危険と隣りあわせなので、我々選手はいつも最悪の事態を想定しています。
迅速に対応できたのは、試合中の気が張った精神状態だったため、冷静にいれたことも起因していると思いますが、さすがに試合中に地震が起きたのは初めてだったので、初動では自分自身に落ち着こうと言い聞かせました。
仙台は震災を経験しているので、ある程度観客に免疫はあったと思いますが、とにかくお客さんには残念な気持ちのまま帰路について欲しくありませんでした。”
リスクコミュニケーションの観点から、今回運営側の決断も明快で適切な対応でした。 大きな揺れから約25分後、以下の3点が周知された上で試合再開のアナウンスがされました。
・会場の安全確認がとれたこと
・次に大きな揺れが確認された場合は、大会を中止すること
・会場隣の広場が、避難場所となっていること
新日本プロレスでは、事前に会場の防災マニュアルをもとに「大会運営マニュアル」を作成しており、非常時における初期対応や避難場所から選手、観客の誘導にあたるスタッフ配置まで決めていました。当日は、現場に居合わせた地元テレビ局と連携をとり情報収集ができたこともあり、迅速に試合再開に舵を切れました。
こうして選手らと、運営側の適切な対応により無事大会は終了することができたのでした。
棚橋選手は1999年に新日本プロレスに入門。2012年にブシロードが新たなオーナーになるまで、約10年間も集客に苦しい時期を経験しています。
“新日本プロレスでは、リングの中は選手、リングの外は運営スタッフと役割分担が明確です。会社は選手にリスペクトを持って接してくれますし、試合に集中できるように日頃から体制を整えてくれています。
選手も営業活動などしっかり担ってくれる会社側に感謝の気持ちがあり、お互いに良い関係が構築できています。私たち選手が咄嗟にファンサービスを行えたのは、運営側がしっかり対応してくれるという安心感も影響していると思います。今回のようなきちんとした対応一つ一つが、私たちが大切にしたい顧客との信頼につながっていくと思います。”
- keyword
- リスクコミュニケーション
- リスクマネジメント
組織の生産性を上げるエンタープライズ・リスクコミュニケーションの他の記事
おすすめ記事
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/09/16
-
-
ラストワンマイル問題をドローンで解決へBCPの開拓領域に挑む
2025年4月、全国の医療・福祉施設を中心に給食サービスを展開する富士産業株式会社(東京都港区)が、被災地における「ラストワンマイル問題」の解消に向けドローン活用の取り組みを始めた。「食事」は生命活動のインフラであり、非常時においてはより一層重要性が高まる。
2025/09/15
-
-
機能する災害対応の仕組みと態勢を人中心に探究
防災・BCP教育やコンサルティングを行うベンチャー企業のYTCらぼ。NTTグループで企業の災害対応リーダーの育成に携わってきた藤田幸憲氏が独立、起業しました。人と組織をゆるやかにつなげ、互いの情報や知見を共有しながら、いざというとき機能する災害対応態勢を探究する同社の理念、目指すゴールイメージを聞きました。
2025/09/14
-
-
-
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2025/09/05
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方