マンネリ化を防ぐことで訓練参加者の意識も変わる(写真はイメージです)

■「うまくいかない!」は万国共通の悩み?

以前、米国フロリダで行われた危機管理研修に参加した時のことです。先生が「みなさんの組織でいま問題となっていることは何でしょうか。隣同士で話し合ってみてください」と参加者に呼びかけました。“いま問題となっていること”とは、危機管理体制のことです。BCM(事業継続管理体制)と読みかえても左程間違いではないでしょう。

すると、隣に座っていたカナダから参加したという行政関係の人から声をかけられました。筆者は「自分は個人参加なので書くことがなくてねえ…。あなたのところでは?」と聞き返したら、その人は「私の組織ではテストがうまくいってないのです」と言いました。

よく聞いてみると、この「テスト」とは情報システムのディザスターリカバリ(災害復旧)に関わることらしいのですが、方法や手順に問題があるという意味ではなくて、その役割を担う担当者たちが、多忙にかこつけてなかなかテストに協力してくれないというのです。この研修では他にも、テストやドリル(訓練)がうまくいっていないと発言する参加者が何人かいました。

一方国内に目を向けると、危機管理部門やリスク対策室を持つ一部の大企業では、ある程度の予算を割いて計画的、継続的に訓練やテストを実施しているようですが、一般的にはなかなかコンスタントに実施するのがむずかしいのが現実。「うまくいっていない」というのは万国共通の悩みかもしれません。そこで、今回のテーマは「訓練を社内に習慣づけるためにはどうするか?」をPDCAのテーマとしてみようと思います。

■参加意欲の高まる訓練とは…

最初はPlanのステップです。ここでは「訓練がうまくいかない」原因を推定し、その原因を取り除くための解決策を導きます。Planのステップを場当たり的に行うと、「Do」や「Check」のステップに好ましくない影響を及ぼすことは前に述べた通りです。

さて、ひと口に「訓練がうまくいかない」と言っても、組織それぞれに意味合いが異なります。しかし多くの事例に共通しているのは、冒頭で述べたように関係者が訓練やテストに自ら進んで参加しない(あるいはできない)という現実です。なぜ参加しないのか? →本人が多忙だから、という理由だけでは十分ではありませんね。その裏にある真意をくみ取る必要がありそうです。よってここでは訓練参加者にヒヤリングもしくはアンケートをとり、これに「なぜ?」をぶつけて次のような結論を得たものとしましょう。

「なぜ訓練に参加しないのか?」→「訓練より仕事の方が大切だから」→「なぜ?」→「訓練に参加するだけの意義や価値が見えない」→「なぜ?」→「マンネリ化している」(ひとまずこれを結論とします)

同じことの繰り返しで訓練がマンネリ化し、参加意欲が減退しているというのが、このケースの根本的な原因らしいことが分かりました。では、マンネリ化を避けるためにはどんな工夫や対策を講じればよいのでしょうか。これには例えば「参加者全員にレポートを提出させる」「毎回訓練の想定を変える」といった工夫があるでしょう。

問題の原因と対策の道筋が見えてきたところで、次はSMART(第6回『Planの目標設定はスマートに決めよう』を参照)を意識してPlanを組み立てます。とくに目標設定はしっかりと。ここでは「訓練の参加率を前年比2割アップする」としましょう。