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“レジリエントな街”とはどのような街なのか、詳細についてはこれまでの連載をご覧いただくとして、本連載では、デジタル活用によって、都市における災害対応がどのようにレジリエントになるのか考えてみたいと思います。

レジリエントな社会って何?

■ロックフェラー財団100RCに見る街づくりのポイント

レジリエンスは、究極的にはSDGsが目指す持続可能性や、誰一人取り残さない社会を実現するために必要な考え方です。正しく理解し、生活やビジネスの場での実践が求められています。デジタル活用は、誰一人取り残さない社会の実現に必要不可欠なピースとなります。なお、この連載では、デジタル活用を、ICT(情報通信技術)とデータ活用を合わせたものとして捉えます。ここでは、ICTは通信回線やパソコン・スマートフォンなどのハードウェアなどを含めたインフラを指します。現代の情報社会を支える基盤となる重要な要素です。データは、私たちの生活を取り巻くあらゆる種類の情報を指します。交通情報や気象情報、私たち個々人の住所や年齢などの個人情報も含みます。デジタル技術で表現することのできる全ての情報をデータと捉えます。

連載の第1回は、レジリエントな街づくりや災害対応を実現するため、いかにデータ活用が重要となるのかをご紹介します。

災害時に気象庁が出す特別警報の対象は、市区町村単位です。それに紐づく市区町村の避難指示などの情報は、町丁字単位で発出されます。住所区分に基づいている、とお考えください。例えば、豪雨によりXX市全域に避難指示が発出されたとき、実際に避難が必要なのは、XX市のハザードマップで洪水リスクがあると指定されている家屋にお住まいの方々です。みなさんのお住まいの自治体のハザードマップをご覧いただくと、洪水リスク、土砂災害リスクは単純に住所で区切ることができないことがお分かりいただけるかと思います。同じ町名であっても、洪水リスクの高いエリアとそうではないエリア(または土砂災害、津波リスクが高いエリアとそうではないエリア)があることが分かります。

同じ“地域”と一言で言っても、それぞれ家屋の立地状況や世帯構成が異なる人々、多様な背景を持った人々が住んでいます。世帯構成は、例えば避難に時間のかかる高齢者の方と同居されている、小さなお子さんを抱えているなどの事情によって、避難準備を始めるタイミングが変わってきます。このような多様性に対して、警報や避難指示などが「一律」で面的な提供であることに対して、一部の自治体では、もっときめ細やかな情報の提供をしたいと考えています。