2018/03/19
防災・危機管理ニュース
東京都は14日、「都立病院医療安全推進委員会」の今年度第2回会合を開催。今年度上期(2017年4~9月)インシデント・アクシデントレポートの集計結果を公表した。8都立病院における日常診療の場での「ヒヤリハット」事例である「インシデント」と、患者に変化が生じ、治療や処置を要した「アクシデント」は計1万3969件で前年同期比5.0%増だった。8病院の総病床数は4997床で、1病床あたりのレポート数は5.2%増の2.80件。
レポート数はインシデントが全体の95.13%の1万3289件、アクシデントが4.87%の680件でインシデントが圧倒的に多い。インシデントは前年同期比4.9%増、アクシデントは7.6%増。
レポート総数1万3969件の事象内訳は、誤投与や飲み忘れ・飲み違いといった「薬剤」が31.80%、「転倒・転落」が13.79%、点滴やチューブが外れる「抜去」が13.07%。上位3つで約6割を占める傾向は前年同期とほぼ同じ。診療科別の事象内訳は外科系が最多で32.34%、次いで内科系31.79%、精神科20.14%、小児科13.33%。職種別のレポート提出で圧倒的に多いのは、日常的に患者と接する機会の多い看護師で85.11%。医師・歯科医師は5.19%。
医師・歯科医師に絞ったインシデント・アクシデントは725件。インシデントは79.5%の576件、アクシデントは20.6%の149件。手術など患者の安全に直結する行為が多いことから、全報告と比較してアクシデントの割合が高い。事象別内訳は「薬剤」が38.9%、「手術」が17.4%、「検査」が8.7%。「薬剤」は指示内容の入力ミスなどだという。
(了)
リスク対策.com:斯波 祐介
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
競争と協業が同居するサプライチェーンリスクの適切な分配が全体の成長につながる
予期せぬ事態に備えた、サプライチェーン全体のリスクマネジメントが不可欠となっている。深刻な被害を与えるのは、地震や水害のような自然災害に限ったことではない。パンデミックやサイバー攻撃、そして国際政治の緊張もまた、物流の停滞や原材料不足を引き起こし、サプライチェーンに大きく影響する。名古屋市立大学教授の下野由貴氏によれば、協業によるサプライチェーン全体でのリスク分散が、各企業の成長につながるという。サプライチェーンにおけるリスクマネジメントはどうあるべきかを下野氏に聞いた。
2025/12/04
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/12/02
-
-
-
-
-
-
目指すゴールは防災デフォルトの社会
人口減少や少子高齢化で自治体の防災力が減衰、これを補うノウハウや技術に注目が集まっています。が、ソリューションこそ豊富になるも、実装は遅々として進みません。この課題に向き合うべく、NTT 東日本は今年4月、新たに「防災研究所」を設置しました。目指すゴールは防災を標準化した社会です。
2025/11/21
-
サプライチェーン強化による代替戦略への挑戦
包装機材や関連システム機器、プラントなどの製造・販売を手掛けるPACRAFT 株式会社(本社:東京、主要工場:山口県岩国市)は、代替生産などの手法により、災害などの有事の際にも主要事業を継続できる体制を構築している。同社が開発・製造するほとんどの製品はオーダーメイド。同一製品を大量生産する工場とは違い、職人が部品を一から組み立てるという同社事業の特徴を生かし、工場が被災した際には、協力会社に生産を一部移すほか、必要な従業員を代替生産拠点に移して、製造を続けられる体制を構築している。
2025/11/20
-
企業存続のための経済安全保障
世界情勢の変動や地政学リスクの上昇を受け、企業の経済安全保障への関心が急速に高まっている。グローバルな環境での競争優位性を確保するため、重要技術やサプライチェーンの管理が企業存続の鍵となる。各社でリスクマネジメント強化や体制整備が進むが、取り組みは緒に就いたばかり。日本企業はどのように経済安全保障にアプローチすればいいのか。日本企業で初めて、三菱電機に設置された専門部署である経済安全保障統括室の室長を経験し、現在は、電通総研経済安全保障研究センターで副センター長を務める伊藤隆氏に聞いた。
2025/11/17






※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方