2018年西日本豪雨(平成30年7月豪雨)で被災した真備店

全国にパチンコホールを展開するダイナム(本社、東京都荒川区)は、地震災害だけでなく、富士山噴火や大規模水害などによる首都機能喪失も視野に入れたBCP見直しを進めている。東日本大震災では、多くの店舗が被災し、津波による被害も甚大であった。新型コロナ対応では徳島県と高知県をのぞく全都道府県で店舗の休業が余儀なくされた。こうした危機に再び襲われても、従業員と顧客の命を守りながら、地域に必要とされる会社を目指し、資金面も含めたBCPを再構築している。2回に分けて同社のBCPへの取り組みを紹介する。

BCPリーダーズ10月号で特集予定

■起点となった東日本大震災

同社は、沖縄を除く全国46都道府県にパチンコホールを展開する業界大手。2022年7月時点で396店舗を有し、従業員はパートを含め7643名(正社員4284名/パート3359名)いる。

リスクマネジメントの取り組みを本格化させたのは2011年の東日本大震災以降。それまでも、パチンコ店特有のリスク対策は行っていたが、リスクマネジメントを専門に行う部門はなかった。「東日本大震災を機に、災害対策をはじめ、これまでも対策してきたさまざまなリスクについて、事業部として一体的に取り組むことにしました」と同社リスク管理部の阿部到部長は説明する。

東日本大震災では、地震の揺れによる被害に加え、宮城県東松島市では、津波に店舗が飲まれるなど、東北地方を中心に甚大な被害を受けた。当時351店舗あったうち132店舗が営業休止を余儀なくされた。震災後も、計画停電により営業活動は制限された。

当時、対策本部会議は延べ55回開かれ、被害状況の確認方法や、本部の支援の在り方が課題になった。対策本部で使われた資料は、分厚い冊子にまとめられ、必要な部署ごとに保管され、今も検証資料として引き継がれている。

 
東日本大震災におけるダイナムグループの対応記録集

それまでも安全が軽視されていたわけではないが、震災以降は「従業員と顧客の命を守ることが、経営方針の中でも最重要視されている」と阿部氏。リスク管理部でリスク対策担当マネジャーを務める後藤亘氏は「経営としては、従業員の命に影響を与えるような事態が発生していないかという情報は何より大事で、必要に応じて即会議や委員会が設けられ、必要な部署に必要な指示が出せる状態になっています」と補足する。この迅速な情報共有と関連部署の足並みがそろった対応が同社の危機管理の礎を築いている。