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全世界に1万人以上のリスクマネジメントのプロフェッショナルを会員として擁する世界最大のリスクマネジメント団体RIMSは毎年、リスクマネジメントの先端的な事例から学ぶために、『リスク管理優秀事例』調査を実施し、報告書にまとめている。その年によって調査する優秀さは異なるが、2021年は多様性(ダイバーシティー)に焦点を当てている。もちろん、多様性が富むアメリカであるからこのテーマは重要であり、日本のような相対的に均一的な社会では、それほど大きなリスク要因にはならないという主張もありえるかもしれない。しかし、グローバルな基準からいえば、そうとばかりは言えず、投資家や顧客、さらには従業員などの利害関係者が企業の多様性対応により厳しい目を向けていくことは目を背けることができないトレンドであろう。

報告書では、組織内に多様性を導入し、そこから得られるメリットを実現するためには、多様性(Diversity)だけではなく、公平性(Equity:異なる人々を公平に処遇する)、一体性(Inclusion:異なる人々を受け入れて、皆が一体感をもつ)をそれと連動させることが不可欠であるとの問題意識から、そうした組織的な取組を組織の「DE&I」戦略と呼び、それに対する認識と取組を明らかにし、提言に結び付けている(Marsh &RIMS Excellence in Risk Management XVIII “Diversity, equity, and inclusion: Progress made, challenges remain” June 2021. 日本語訳はRIMS日本支部ホームページ掲載予定)。