埼玉県八潮市で昨年1月、県道が陥没してトラックが転落した事故で、専門家らでつくる原因究明委員会(委員長・藤野陽三城西大学長)は19日、最終報告書を公表した。「陥没は硫化水素によって腐食した下水道管に起因する」とした上で、「通常以上の意識を払えば腐食、損傷のリスクの高まりを推測できた」と指摘。一方、陥没は「予測可能だったとは言えない」と結論付けた。
 報告書によると、県が2021年度に行ったカメラによる腐食状況の調査では、水しぶきや光量不足で、陥没が発生した地点の下水道管の映像が取得できていなかった。硫化水素濃度が高い地点で再調査すべきだったが、調査会社や県職員に下水道管の構造に関する高度な知見がなく、直ちに対応が必要な「ランクA」ではなく異常が少ない「ランクB」と評価していた。
 一方、当時の技術では地表から陥没の兆候を検知して「未然に予測することが可能だったとは言えない」と指摘。その上で、映像が取得できなかった区間は再調査を実施し、それでも取得できない場合は「評価不能」などと記録することを義務付けるよう提言。過酷な状況でも鮮明な映像が取得できる調査機器など、新たな点検技術の開発も求めた。
 二羽淳一郎副委員長(東京科学大名誉教授)は記者会見で、「県の点検手法は他の自治体に比べて劣ってはいなかったと考える。前例のない事故で、予見できなかったというのが妥当な判断だ」と話した。
 記者団の取材に応じた大野元裕知事は「より良い手法や新たな技術を確立するための国との協力を進めていくことが責務。今回が日本で最後の事故になるよう、他の都道府県とも危機感を共有できるよう努めたい」と述べた。 
〔写真説明〕埼玉県八潮市で下水道管が破損して陥没した県道交差点の復旧工事現場=1月26日
〔写真説明〕埼玉県八潮市の県道陥没事故に関する原因究明委員会の最終報告書を受け取り、記者団の取材に応じる大野元裕知事=19日午後、さいたま市

(ニュース提供元:時事通信社)