ハード・ソフト両面によるリスク軽減の見える化を図る

国土交通省は11日、「気候変動を踏まえた治水計画に係る技術検討会」の第2回会合を開催。温暖化による洪水可能性の上昇を見すえた「水害リスク評価の手引き」の試行版を提示した。ハード対策のほかに水位計設置や啓発活動などソフト対策も組み合わせたリスク軽減の見える化を行う方針などを示した。温暖化リスクを加味し治水計画を見直す際の一定の方向性を今年度内にとりまとめる方針。

手引きの試行版では水系など氾濫ブロックごとに水害リスクを評価。人命や家屋、農漁業などの直接被害を標準的な評価項目として設定し、被害額を算出する。リスク評価の手法は(1)ダムなど施設整備(2)水位計の設置や水害リスクの啓発活動といったソフト面中心の取り組み(3)かさ上げなど土地利用の取り組み-の3つを組み合わせ、取り組みを行わなかった場合と行った場合の被害を折れ線グラフなどで示す見える化を、ブロックごとに行う方針が示された。

また、将来の降雨量などについて試算結果も公表。将来の降雨量について、気温が4℃上昇のシナリオの場合、今世紀末の全国一級水系における降雨量は1951~2011年と比較して約1.3倍、2℃上昇の場合は約1.1倍になるという国土技術総合研究所のデータを基に、国交省で流量や洪水発生確率も試算。4℃上昇の場合、全国一級水系の流量は約1.4倍増。洪水発生確率は約4倍に高まるという。2℃上昇の場合、流量は約1.2倍、洪水発生確率は約2倍と試算している。

(了)

リスク対策.com:斯波 祐介