2018/05/24
防災・危機管理ニュース

関東地方知事会議が23日、東京都千代田区の都道府県会館で開催。東京都、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、神奈川県、山梨県、静岡県、長野県の10都県の知事が出席した。国への提案・要望では全都県による共同提案として群馬県草津町の本白根山噴火を契機とした火山災害対策の強化が採択された。
1月に発生した本白根山の噴火では、想定火口と異なる場所での発生で周辺に監視カメラもなかった。共同提案では常時観測火山の観測拠点や項目の増加といった体制の充実・強化、研究人材育成、住民・登山者への情報伝達のほか、広域避難計画の作成・改訂を国が主体となって行うことや、避難施設や避難路整備などへの技術的・財政的支援を要望する。
各都県からの要望提案では静岡県が地震など災害対策の推進を提案。2017年の政府の中央防災会議で1978年に制定された大規模地震対策特別措置法(大震法)で前提となっている地震の直前予知は現時点で困難と結論づけ、そのうえで南海トラフ沿いでの最初の事象後の対応を行うこととなった。静岡県では南海トラフ地震の対応ガイドラインの早期策定、地殻変動や地震活動の常時観測、即時の分析・評価体制構築を訴えた。また大規模災害時限定で活動する消防団員制度導入支援、消防団員確保や活動環境の整備のための取り組みへの財政支援措置などを要望する。
神奈川県は道府県から政令指定都市への、仮設住宅整備など災害時の権限移譲を盛り込んだ災害救助法改正法案が8日に閣議決定され国会に提出されたことを受け、黒岩祐治知事が遺憾の意を表明。委譲する政令市の基準を定める内閣府令の検討に向け、道府県の意見を反映させ道府県の広域調整権が機能するように求めた。
長野県は災害時に備えた燃料備蓄支援について提案。一定の燃料を備蓄し、警察・消防等の緊急車両に対して優先給油を実施する給油所に国から補助を行う「災害時給油所地下タンク製品備蓄促進事業」が今年度で終了することから、2019年度以降の継続、石油製品の輸送手段確保など流通体制構築を訴えた。
埼玉県は警察官の増員と装備資器材の充実を提案。総務省が難色を示しているが、全国の警報認知件数の42%が関東地方知事会の10都県に集中していることや、2019年のラグビーW杯、2020年の東京オリンピック・パラリンピックを控えていることから要望する。関東地方知事会の会長を務める同県の上田清司知事は冒頭、2014年の長野県と岐阜県にまたがる御岳山、2015年の神奈川県の箱根山、今年の本白根山など噴火が相次いでいることをふまえ「より一層、連携・協力して体制を構築し災害に強い地域づくりを進める」と述べた。
■関連記事
南海トラフ、避難など対応や仕組み作り
http://www.risktaisaku.com/articles/-/5739
政令市へ権限移譲、改正法案を閣議決定
http://www.risktaisaku.com/articles/-/6059
(了)
リスク対策.com:斯波 祐介
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