(イメージ:写真AC)

ひと昔前は国家が総力を挙げて取り組んでいた宇宙産業。現在では続々と民間企業が参入し、特に人工衛星については製造コスト・打ち上げコストが大きく下がったことで打ち上げが加速、現在地球の軌道上をおよそ5,000台が回っているとも言われています。質・量ともに長足の進歩を遂げ、観測できる事象の幅も広がった人工衛星、これをどのように防災・危機管理に活用できるでしょうか。

人工衛星の進化、いま測定できる事象

人工衛星は、目的に応じてさまざまな高さで地球の周りを飛んでいます。高度が低い場合は400 kmほどの高さを飛んで約90分程度で地球を一周、高い場合は約3万6000kmほどの高さを周回し、24時間かけて地球を一周しています。

人工衛星の種類と言うと、気象を観測する気象衛星や、位置の特定に使うGPSのための衛星などが頭に浮かぶと思いますが、現在の人工衛星はさまざまなセンサーで多様な事象を観測できるようになってきています。下記は陸・海・空に分けて計測できる事象をまとめたものです。特に陸については、光学センサー・SARセンサー・熱赤外センサーを使って、それぞれ地表のイメージ・地表の変化・地表の温度をとらえることができます。

その中でもSAR(合成開口レーダー:Synthetic Aperture Radar)の利用が拡大しています。SARはセンサーから電波を発射し、その反射をとらえることで対象物を計測するため、夜であっても、悪天候で雲がかかっていても変わらず観測することができます。そして、使用する電波の波長を変えることにより、地表の様子、地下水、地下鉱物の分布などさまざまな対象を計測することができます。技術革新によって小型軽量化が進み、低コストの小型衛星にも搭載することができるようになったため、スタートアップ企業が多く参入し、ビジネスとしての展開に取り組んでいます。