あらゆる手段で周知してこそのパワハラ防止
第6回:パワーハラスメント防止対策の義務化 その2

本田 茂樹
現在の三井住友海上火災保険株式会社に入社、その後、出向先であるMS&ADインターリスク総研株式会社での勤務を経て、現職。企業や組織を対象として、リスクマネジメントおよび危機管理に関するコンサルティング、執筆活動を続ける一方で、全国での講演活動も行っている。これまで、信州大学特任教授として教鞭をとるとともに、日本経済団体連合会・社会基盤強化委員会企画部会委員を務めてきた。
2022/05/11
ウイズコロナ時代の健康経営
本田 茂樹
現在の三井住友海上火災保険株式会社に入社、その後、出向先であるMS&ADインターリスク総研株式会社での勤務を経て、現職。企業や組織を対象として、リスクマネジメントおよび危機管理に関するコンサルティング、執筆活動を続ける一方で、全国での講演活動も行っている。これまで、信州大学特任教授として教鞭をとるとともに、日本経済団体連合会・社会基盤強化委員会企画部会委員を務めてきた。
前回に続き、2022年4月1日から中小企業においても義務化されたパワーハラスメント防止措置について考えます。企業がパワーハラスメントを防止するために講ずべき措置には次の4つがありますが、企業は、これらの措置を必ず講じなければなりません。
・事業主の方針等の明確化およびその周知・啓発
・相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
・職場におけるパワーハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応
・その他、あわせて講ずべき措置
厚生労働省が発表した「職場におけるパワーハラスメント対策が事業主の義務になりました!」(令和4年1月)をもとに、そのポイントを説明します。
(1)職場におけるパワハラの内容・パワハラを行ってはならない旨の方針を明確化し、労働者に周知・啓発すること
企業は、職場でパワハラがあってはならないという方針を明確に打ち出し、それを従業員に周知し、啓発することが求められています。また従業員が「そもそも何が職場のパワハラなのか」を理解していなければ、その発生を抑えることができませんから、どのような行動や発言がパワハラに該当するかを明らかにしておくことも必要です。
【取り組みを進めるにあたってのポイント】
企業としてのパワハラに関する方針を明示する文書は、就業規則に限りません。従業員必携や行動マニュアルなど、社内ルールを定めたものを使うことも考えられます。
従業員に周知することを目的としてパンフレットなどを作成する場合、「作成して終わり」ではありません。全従業員に確実に周知されるように、配布方法などを工夫することが必要です。
また、社内ホームページに周知文書を掲載することも考えられますが、従業員が掲載されていることを知らなければ意味がありません。掲載する、また内容を更新する都度、その旨をメールなどで周知することがポイントです。
研修や講習は「ただやればよい」ということではなく、定期的に実施する、事前にアンケート調査を行うことで職場の実態を踏まえた上で実施する、管理職層を中心に階層別に分けて実施する、などの方法が効果的です。
また、正規雇用の従業員だけでなく、パート、アルバイト、派遣労働者など非正規雇用の従業員も対象に含めて研修を実施することが求められます。
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