2018/06/27
防災・危機管理ニュース
都から大使館へ提供する情報は被災状況のほか、ライフライン・交通・通信の復旧状況、都や区市町村の応急対策活動の概要、医療機関の診療状況のほか、NGOなどによる外国人支援活動の状況、外国語対応可能な相談窓口の設置状況や外国語情報の提供手段など。
逆に都が大使館から収集する情報は、大使館の被災状況や移転の場合の避難先、各国民の被災状況と各国民への支援状況、パスポートの紛失や焼失が見込まれることから再発行手続きの臨時的措置、在日交流協会・商工会など関係団体の活動状況など。
外務部と大使館は通信訓練を実施する。発災時を想定し、外務部から登録済みの大使館連絡先へメールとファクスを一斉送信。大使館が外務部に返信する形で行う。27日に昼間の訓練を行うほか、28日には夜間訓練を実施する。外務部によると2017年にトライアルとして実施したが、本格的な夜間訓練は今回が初めてという。7月3日には墨田区にある東京消防庁の本所防災館で大使館関係者による視察会も実施する。
東京都内在住の外国人は現在約52万人と、10年で3割近く増加。2017年に東京都を訪れた外国人旅行者は約1377万人で前年比5.1%増。東京オリンピック・パラリンピックのある2020年には2500万人を都は目指している。一方で日本は特に地震が頻発しており、18日の大阪北部地震でも京都や大阪といった人気都市での外国人への情報伝達は大きな課題になった。
自国民保護を行う各国大使館が集積する東京都では大使館との連携は重要。訓練や平時からの啓発活動といった備えは必須だろう。一方で訪日外国人旅行者が大幅に増加している今、スマートフォンやデジタルサイネージ、駅内・車内放送などを通じた外国人個人への多言語での情報伝達の重要度が増しており、民間も含めた草の根の取り組みも急がれる。
(了)
リスク対策.com:斯波 祐介
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/09/16
-
-
ラストワンマイル問題をドローンで解決へBCPの開拓領域に挑む
2025年4月、全国の医療・福祉施設を中心に給食サービスを展開する富士産業株式会社(東京都港区)が、被災地における「ラストワンマイル問題」の解消に向けドローン活用の取り組みを始めた。「食事」は生命活動のインフラであり、非常時においてはより一層重要性が高まる。
2025/09/15
-
-
機能する災害対応の仕組みと態勢を人中心に探究
防災・BCP教育やコンサルティングを行うベンチャー企業のYTCらぼ。NTTグループで企業の災害対応リーダーの育成に携わってきた藤田幸憲氏が独立、起業しました。人と組織をゆるやかにつなげ、互いの情報や知見を共有しながら、いざというとき機能する災害対応態勢を探究する同社の理念、目指すゴールイメージを聞きました。
2025/09/14
-
-
-
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2025/09/05
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方