ICSで指揮力を高めよ

在日米陸軍統合消防本部は4月19日、座間キャンプ内で「危険物災害現場指揮官訓練セミナー」を開催した。危険物災害時における危機管理の向上、日米相互理解および認識を高め、有事の際の相互協力を目的としたもので、インシデント・コマンド・システム(ICS) と呼ばれる米国の指揮命令管理システムや、災害の分析、対応計画、戦術、評価のあり方などについて学んだ。

相模原市、座間市の両市と在日米陸軍基地管理本部は昨年「災害準備及び災害救援活動に関する相模原市・座間市と在日米陸軍基地管理本部との覚書」を交わしているが、冒頭、緊急業務局長のトーマスM.ビショップ中佐は「災害時における対処方法をお互いにに学ぶことで、将来的に何かあったときにとまどうことなく協力できる」と挨拶した。セミナーには、政府関係者や東京都、神奈川県他、周辺市の危機仮や警察、消防関係者ら170人程度が参加した。

当日は、統合消防次長の熊丸由布治氏が講師となり、米国の危機管理体制の発展の歴史や、国家災害管理システム、ISCの仕組みなどを説明した。

インシデントコマンドシステムは1970年代にカリフォルニアの火災をきっかけに異なる機関、部門などが連携できるように開発された危機対応の共通化システム。熊丸氏は、ICSの特長として管理統制できる限界数、共通言語、単位化され拡張可能な組織体制などを挙げた上で「ICSは非常時だけに限らず、オリンピックのような大規模なイベントにも活用できれば、一般家庭でも使える」と話した。敷地内では除染及び資機材などの展示も行われた。

●ICSの特徴

  1. スパンオブコントロール:管理統制限界数
  2. 共通言語
  3. 単位化され拡張可能な組織体制
  4. 統一的・明確な指揮系統
  5. 統合化されたコミュニケーション
  6. 信頼できる対応計画
  7. 現場指揮所
  8. 統合的なリソース管理
  9. 的確な情報収集・管理・伝達