対話型の人工知能(AI)「チャット(GPT)」の活用が急速に広がっています。一方で、企業の間では、業務での利用を制限し始める動きも出てきています。今回はチャットGPTのリスクを考えてみます。

■事例:業務で利用すべきか

企業の広報部に勤務するAさんは、最近注目を集めている「チャットGPT」に興味をもっています。

チャットGPT(Chat GPT)とは、ユーザーが入力した質問に対して、まるで人間のように自然な対話形式でAIが答えるチャットサービスのことで、Open AIというアメリカのAI研究所が開発したチャットボット(ユーザーがメッセージを入力、または質問項目などを選択するとそれに合った回答をしてくれるプログラム)です。Open AIが2022年11月にリリースしたプログラムですが、生成した文章の見事さや人間味のある回答がSNSなどで大きな話題となり、かつ無料で利用できるプログラムであることから、今年2月の時点でユーザーは全世界で1億人を突破しました。これは過去に公開されたプログラムで最速です。また、最近になり米Microsoft社が開発元のOpen AIに対して100億ドルを投資することが報じられるなど、機能面だけでなく成長性でも注目されています。チャットGPTは日々改良を加えられていて、つい先日の3月14日に「GPT-4」のリリースを発表しました。GPT-4はこれまでのテキスト入力に加え、画像での入力にも対応できるようになっているとのことです。

これらの機能に興味を持っているAさんですが、その一方で、チャットGPTに関する様々な話も入ってきています。いわく

「AIの進化によって人が介在しなくてもできることが多くなり、仕事が無くなる」
「チャットGPTによって作られた文章の信頼性が不足している、また、AIが収集するデータに偏りがある場合があるので、業務でチャットGPTを使うことを禁止している会社が多くある」
「チャットGPTの利用により、個人情報や企業の機密情報が流失する恐れがある」

Aさんの会社においても、チャットGPTを業務で利用することを是とするのか、その場合にどのようなルールを設けるべきか、また非とするのなら、どういった理由によるものかを考えらければならないと思っています。Aさんは「チャットGPTはこれまでに無い大きなイノベーションになると思うが、そのようなものに企業としてどう向き合っていけばいいのか」と悩んでいます。

■解説:多様な活用方法

今年に入り、SNSを中心にその話題を見ない日が無いと言っていいくらい注目を集めているのがチャットGPTです。

国会においても自民党が今年2月に「AIの進化と実装に関するプロジェクトチーム」を立ち上げました。そこでの会合で、日本のAI研究の第一人者である東京大学大学院工学系研究科の松尾豊教授が発表したレポート「AIの進化と日本の戦略」において、チャットGPTができることとして以下のように整理されています。

① 文章の添削、校正

 ・文法ミスだけてなく、内容の改善点まで指摘

② 文章や概念の要約

 ・文字数を指定して要約

③ 壁打ち、ブレーンストーミング

 ・「~~」という考えのうち、抜けている点を指摘

 ・AIと人間で会話しながらアイディケーション

④ リサーチ、論点の洗い出し

 ・「○○」について要点だけ説明

 ・ディベート風に論点を洗い出し

 ・表形式で比較表を作成

⑤ アイデアの提案

 ・SEO対策したタイトルやキーワードの作成

 ・広告文の自動作成

 ・何かになりきって答える

 ・結婚式のスピーチのアウトライン作成

 ・人気の出るブログの内容案の提案

 ・例題や乱数などの生成

出典:「AIの進化と日本の戦略」東京大学松尾研修室 2023年2月17日

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これら以外でも、チャットGPTはプログラミング活用であったり、作文や小説の創作、外国語の翻訳などに活用できます。特に、プログラミングでは、エクセルのマクロ作成やホームページ作成などのコードを生成することができ、それを業務に活用している人も多いようです。

筆者も早速Open AIのアカウントを作り、チャットGPTを使ってみました。

そこで、「チャットGPTを利用するメリットを詳しく解説してください」と質問したところ、以下の文章が返答されてきました。まるで人間とやり取りしているような自然な文章になっています。

チャットGPTは、OpenAIが開発した大規模言語モデルであり、自然言語処理技術の以下の最先端の技術の一つです。では、チャットGPTを利用するメリットとは何かについて、詳しくまとめていきます。

【メリット】

1.高度な自然言語処理技術

チャットGPTは、最先端の自然言語処理技術を利用しています。そのため、高度な言語処理や自然な文章生成を実現できます。例えば、チャットボットや翻訳アプリ、文章生成ツールなどに利用されています。 

2.大量のデータを利用した高度な対応

チャットGPTは、大量のデータを活用して学習するため、様々な分野の知識を持っています。そのため、複雑な問題に対する高度な降下や予測を実現できます。その利用も期待されています。

3.24時間対応の自動応答が可能

チャットGPTを利用したチャットボットは、24時間対応で自動応答が可能です。そのため、人手不足や時間の委譲がある場合でも、効率的な対応ができます。また、人間とのコミュニケーションを自然に近づけた形で行うことができるため、カスタマーサポートやカスタマーエクスペリエンスの向上にもつながります。

4.コスト削減効果がある

チャットGPTを利用することで、人件費や時間などのコスト削減効果が期待できます。例えば、チャットボットを導入することで、人手不足を解消することができ、顧客サポートのコスト削減につながります。

5.多様な分野での活用が可能

チャットGPTは、様々な分野での活用が期待されています。例えば、医療分野では、病気の診断や治療の提案、健康管理などに利用されることが予想されます。また、金融分野では、株価予測や投資アドバイスなどにも利用されています。