厚生労働省は5月23日、令和4年の労働災害発生状況を取りまとめ発表した。それによると、令和4年1月から12月までの新型コロナウイルス感染症を除いた労働災害による死亡者数は774人(前年比4人減)と過去最少となった。一方で、休業4日以上の死傷者数は13万2355人(前年比1769人増)と過去20年で最多となった。

死傷者数の数を押し上げているのは、60歳以上の高年齢労働者だ。全死傷者数の約4分の1を占め、3万7988人(前年比1618人・4.4%増、29年比7961人・26.5%増)となった。事故の型別では、特に死傷者数が最多の「転倒」が3万5295人(前年比1623人・4.8%増、29年比6985人・24.7%増)、腰痛等の「動作の反動・無理な動作」が2万879人(同103人・0.50%増、同4702人・29.1%増)を合わせて全体の4割を超え、さらに増加した。厚生労働省安全課によると、「女性の高年齢労働者の転倒事故が特に多い」とする。

業種別では、製造業の死亡者数が、前年比で9人(6.9%)増加し、事故の型別では、機械等による「はさまれ・巻き込まれ」と「墜落・転落」が多くを占めている。建設業の死亡者数は、令和2年以降増加に転じており、前年比で3人(1.1%)増加した。事故の型別では、「墜落・転落」(前年比6人・5.5%増、29年比19人・14.1%減)が最も多く、「激突され」(同8人・42.1%増、同4人・17.4%増)、「飛来・落下」(同6人・60.0%増、同3人・15.8%減)が前年比で大きく増加した。

労働災害を減少させるために国や事業者、労働者等が重点的に取り組む事項を定めた中期計画である「第14次労働災害防止計画」(令和5年度~令和9年度)では、令和9年までに令和4年比で「建設業及び林業においてそれぞれ死亡災害を15%以上」、「製造業における機械によるはさまれ・巻き込まれの死傷者数を5%以上、陸上貨物運送事業の死傷者数を5%以上」減少させること等を目標にしている。同課では「計画の初年度となる令和5年度は、目標の達成に向け、労働者の作業行動に起因する労働災害対策、高年齢労働者、多様な働き方への対応や外国人労働者等の労働災害防止対策、陸上貨物運送業、建設業、製造業や林業への対策、労働者の健康確保対策、化学物質等による健康障害防止対策などに取り組んでいく」としている。