2013/11/07
防災・危機管理ニュース
観光・宿泊施設と災害協定
京都市は5日、大規模地震などの災害発生時に観光客を含む大量の帰宅困難者が発生することを想定し、清水寺など地域の寺社や公園など16カ所と「観光客の緊急避難広場」として利用できるよう災害時の協定を結んだ。併せて、京都府旅館ホテル生活衛生同業組合に加盟する旅館とホテル111施設、清水寺、天龍寺、東本願寺、京都市の職員向け保養所「きよみず」の計115施設が、「観光客の一時滞在施設」として協定を結んだ。
「緊急避難広場」では、京都市が発信する公共交通機関の運行情報や災害対応情報の受け取りや、水道とトイレの使用が可能。「一時滞在施設」ではそれらに加え、仮眠できる場所や応急手当などを受けられる場所を設置する。京都市の定めるガイドラインに沿って最大3日間滞在でき、協定には、妊婦や障害があるなど特別な配慮を必要とする観光客に対し、優先的に客室などを開放してもらえるよう要請する文面が含まれているという。
国内最大の観光地である京都市には年間でおよそ5000万人の観光客が訪れるとし、市ではこれまでも事業者向けとは別に観光客の防災対策部を設置、対策に力を入れてきた。活断層による直下型地震が発生すれば、帰宅困難者の数は最大約13万人に及ぶと見込む。そのうち、夜になっても滞在場所などが確保できない帰宅困難者は約7万人と予測し、施設の確保などの対策を進めてきた。今回協定を結んだ115施設で、2万人から3万人の帰宅困難者を受け入れることができるという。
京都市ではほかにも、観光客向けに4カ国語併記の災害時パンフレットの作成、観光地での主要道路への避難誘導標識の設置、無料Wi-Fiスポット設置などの防災対策を進めている。今後も対策を進めるとともに、避難所や一時滞在施設へは市が料金を負担する形で、食料などの備蓄品を整えていきたいとしている。
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
-
備蓄燃料のシェアリングサービスを本格化
飲料水や食料は備蓄が進み、災害時に比較的早く支援の手が入るようになりました。しかし電気はどうでしょうか。特に中堅・中小企業はコストや場所の制約から、非常用電源・燃料の備蓄が難しい状況にあります。防災・BCPトータル支援のレジリエンスラボは2025年度、非常用発電機の燃料を企業間で補い合う備蓄シェアリングサービスを本格化します。
2025/04/27
-
自社の危機管理の進捗管理表を公開
食品スーパーの西友では、危機管理の進捗を独自に制作したテンプレートで管理している。人事総務本部 リスク・コンプライアンス部リスクマネジメントダイレクターの村上邦彦氏らが中心となってつくったもので、現状の危機管理上の課題に対して、いつまでに誰が何をするのか、どこまで進んだのかが一目で確認できる。
2025/04/24
-
-
常識をくつがえす山火事世界各地で増える森林火災
2025年、日本各地で発生した大規模な山火事は、これまでの常識をくつがえした。山火事に詳しい日本大学の串田圭司教授は「かつてないほどの面積が燃え、被害が拡大した」と語る。なぜ、山火事は広がったのだろうか。
2025/04/23
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/04/22
-
帰宅困難者へ寄り添い安心を提供する
BCPを「非常時だけの取り組み」ととらえると、対策もコストも必要最小限になりがち。しかし「企業価値向上の取り組み」ととらえると、可能性は大きく広がります。西武鉄道は2025年度、災害直後に帰宅困難者・滞留者に駅のスペースを開放。立ち寄りサービスや一時待機場所を提供する「駅まちレジリエンス」プロジェクトを本格化します。
2025/04/21
-
-
大阪・関西万博 多難なスタート会場外のリスクにも注視
4月13日、大阪・関西万博が開幕した。約14万1000人が訪れた初日は、通信障害により入場チケットであるQRコード表示に手間取り、入場のために長蛇の列が続いた。インドなど5カ国のパビリオンは工事の遅れで未完成のまま。雨にも見舞われる、多難なスタートとなった。東京オリンピックに続くこの大規模イベントは、開催期間が半年間にもおよぶ。大阪・関西万博のリスクについて、テロ対策や危機管理が専門の板橋功氏に聞いた。
2025/04/15
-
BCMSで社会的供給責任を果たせる体制づくり能登半島地震を機に見直し図り新規訓練を導入
日本精工(東京都品川区、市井明俊代表執行役社長・CEO)は、2024年元日に発生した能登半島地震で、直接的な被害を受けたわけではない。しかし、増加した製品ニーズに応え、社会的供給責任を果たした。また、被害がなくとも明らかになった課題を直視し、対策を進めている。
2025/04/15
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方