2024/07/07
防災・危機管理ニュース
災害関連死を含め300人超が犠牲となった2018年7月の西日本豪雨で被災した岡山県倉敷市真備町の民家が4月、地域住民の交流施設として生まれ変わった。「わが家を地域の居場所に」。被災後も住み続けて亡くなった住人男性の遺志を引き継ぎ、同市のNPO法人が人々の憩いの場としてリニューアル。災害から6年が過ぎた今月下旬にも母屋でカフェの営業を始める予定だ。
この民家は木造2階建ての日本家屋で、豪雨災害では1階天井付近まで浸水し、全壊判定を受けた。80代で1人暮らしだった住人男性は4カ月間の避難生活を経て家に戻ると、最低限のリフォームを施した離れに住み続けた。
21年5月に89歳で亡くなった際、「わが家を地域の居場所に」と希望し、生前から介護支援を受けていた地元のNPO法人「ぶどうの家わたぼうし」に託した。
NPO法人は家屋の活用法について近隣住民らと協議し、「皆が気楽に集まれる場所」とすることに。ただ、母屋は被災後、手つかずの状態だったため、損傷が激しかった1階部分を中心に、ボランティアらも加わって昨夏から改修工事を進めた。
被害の実態を後世に伝えようと、浸水の痕跡が残る壁の一部を残し、利用者が見られるようにした。NPO法人の津田由起子理事(59)は「『ここまで水が来たんだ』と見える形で残した」とその狙いを語る。
今年4月にオープン。住人男性にちなみ「土師邸」と名付けた。平日は無料開放し、施設の使い方も利用者に委ねている。交流のきっかけにしてもらおうと、庭にはピザ窯を設置した。津田理事は「コミュニティーの維持・強化に向けたその活動拠点が一つ増えた。誰もが気軽に来られるような、皆の居場所になってほしい」と期待を込める。
〔写真説明〕豪雨災害で被災後、地域住民の交流施設として生まれ変わった「土師邸」=6月22日、岡山県倉敷市真備町
〔写真説明〕浸水した1階部分を改修した「土師邸」=6月22日、岡山県倉敷市真備町
〔写真説明〕「土師邸」に残された浸水した壁の一部=6月22日、岡山県倉敷市真備町
(ニュース提供元:時事通信社)



防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/05/13
-
「まさかうちが狙われるとは」経営者の本音に向き合う
「困った人を助け、困った人を生み出さず、世界中のデータトラブルを解決します」。そんな理念のもと、あらゆるデータトラブルに対応するソリューションカンパニー。産業界のデータセキュリティーの現状をどう見ているのか、どうレベルを高めようとしているのかを聞きました。
2025/05/13
-
-
-
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2025/05/05
-
企業理念やビジョンと一致させ、意欲を高める人を成長させる教育「70:20:10の法則」
新入社員研修をはじめ、企業内で実施されている教育や研修は全社員向けや担当者向けなど多岐にわたる。企業内の人材育成の支援や階層別研修などを行う三菱UFJリサーチ&コンサルティングの有馬祥子氏が指摘するのは企業理念やビジョンと一致させる重要性だ。マネジメント能力の獲得や具体的なスキル習得、新たな社会ニーズ変化への適応がメインの社内教育で、その必要性はなかなかイメージできない。なぜ、教育や研修において企業理念やビジョンが重要なのか、有馬氏に聞いた。
2025/05/02
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方