元の状態に戻すのが事業継続戦略なのか?
第11回:BCP復旧曲線の違和感
荻原 信一
長野県松本市出身。大学卒業後、1991年から大手IT企業に勤務。システム開発チームリーダーとして活動し、2005年にコンサルタント部門に異動。製造業、アパレル、卸業、給食、エンジニアリング、不動産、官公庁などのコンサルティングを手がける。2020年に独立。BCAO認定事業継続主任管理士、ITコーディネータ。
2024/07/11
ざんねんなBCPあるある―原因と対処
荻原 信一
長野県松本市出身。大学卒業後、1991年から大手IT企業に勤務。システム開発チームリーダーとして活動し、2005年にコンサルタント部門に異動。製造業、アパレル、卸業、給食、エンジニアリング、不動産、官公庁などのコンサルティングを手がける。2020年に独立。BCAO認定事業継続主任管理士、ITコーディネータ。
BCPの計画と現実との間のギャップを、多くの企業に共通の「あるある」として紹介し、食い違いが生じる原因と対処を考える本連載。第2章は「BCPの実効性、事業継続マネジメント、発生コスト」のなかに潜む「あるある」を論じています。今回は、何のための事業継続なのかという根本認識について、筆者が常々抱いている違和感を語ります。
②事業継続戦略
・事業継続は経営マター
新型コロナウイルスの影響下において、多くの企業が従業員の時差出勤や在宅勤務を取り入れて対応したと思います。外部に目を向けても、行動制限にともなって旅行業界や飲食業界は需要が激減し、一方では巣ごもり需要といわれる「家飲み」「健康」「プチ贅沢」に関連する商品やコンテンツ、ECによる物販・物流が拡大。需要が大きく変動するなか、多くの企業が工夫を凝らして対応しました。
今回は、そんななかからひとつ事例を紹介します。
ある有名な劇団が「次世代新規事業プロジェクト」として、稽古場の食堂で出しているカレーを再現したレトルト食品を販売してヒットさせたという事例です。
たびたびメディアで紹介されるものの劇団員以外は食べることができなかった稽古場の食堂の門外不出のカレーを食べることができるという、ファンの心をくすぐる商品のアイデア。コロナ禍というタイミングもあってか、ECサイトを通じて販売が始まり連日売り切れという状態でした。
現在はECサイトだけでなく、劇場でお土産としても売られています。最近では作品のカラーに合わせてグリーンカレーまで発売されましたので、息の長いヒット商品といえるでしょう。本業の強みを生かしつつも、まったく未経験のビジネスを素早く立ち上げ活路を切り開いたという面で、非常におもしろくわかりやすい事例です。
この劇団は新規事業として、カレーのほかにコンテンツ配信やアパレルとのコラボ商品の販売、上演する作品にちなんだワインの販売も手掛けており、劇団創立以来の「芝居だけで食っていく」という理念から〝だけ〟を外し、幅広く収益化のチャンスを狙う方針転換を成し遂げています。
この劇団では、長期にわたり公演が中断される甚大な被害状況のなかで、トップの強いリーダーシップのもと、新規事業という成長戦略に舵を切る素早い経営判断が行われていたに違いありません。
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