避難からBCPまで一気の訓練をしてみては?
第13回:予定調和と形式化を打破する

荻原 信一
長野県松本市出身。大学卒業後、1991年から大手IT企業に勤務。システム開発チームリーダーとして活動し、2005年にコンサルタント部門に異動。製造業、アパレル、卸業、給食、エンジニアリング、不動産、官公庁などのコンサルティングを手がける。2020年に独立。BCAO認定事業継続主任管理士、ITコーディネータ。
2024/09/17
ざんねんなBCPあるある―原因と対処
荻原 信一
長野県松本市出身。大学卒業後、1991年から大手IT企業に勤務。システム開発チームリーダーとして活動し、2005年にコンサルタント部門に異動。製造業、アパレル、卸業、給食、エンジニアリング、不動産、官公庁などのコンサルティングを手がける。2020年に独立。BCAO認定事業継続主任管理士、ITコーディネータ。
BCPの計画と現実とのギャップを、多くの企業に共通の「あるある」として紹介、食い違いの原因と対処を考える本連載。現在は第2章「BCPの実効性、事業継続マネジメント、発生コスト」のなかに潜む「あるある」を論じています。今回は、多くの企業が抱える訓練の予定調和と形式化の問題について。どのように解決できるかを考えます。
③訓練のあり方
・訓練は盛大な朗読会(中京地区大手・製造業・事業部門)
壁の一面にびっしり貼られている一枚を見ると、次のように書かれています。
「製造部製造〇課から報告いたします。人員に被害なし、〇〇装置は被害なし、△△装置は地震の揺れにより調整が必要で復旧までに□時間が必要です。以上、報告を終わります」
どの紙を見ても同じようにセリフ仕立ての被害報告になっていました。
わざわざ仕事を止めて会議室に集まり、事前に用意されたセリフを読み上げ「BCP発動」と高らかに宣言し、事前に用意された結果の報告が行われ、それをみんなで聞いて帰る。このイベントは、何のために行うのでしょうか。
時間に合わせて会議室に素早く集合する訓練か、大きな声でハキハキと報告をする訓練か、報告すべきリソース項目を反復して記憶しておく訓練か、「BCPを発動する」ことを脊椎反射的にちゅうちょなく言えるように慣れさせておく訓練か。この訓練を終えた後、どんな振り返りができるのでしょうか。これを繰り返すことで何が得られるのでしょうか。
時々刻々と状況が動き、少ない情報しかない(本当に被災しているところからは報告がない)状況の中、限られたリソースを駆使して(それさえ情報が届かない場合がある)、どのような判断を下すのか、誰がその判断を下すのか、知恵を絞ることに慣れていくこと、振り返りで出た課題に対策を講じること、「ああしておけばよかった」「こうしておくと便利」というアイデアを日常業務に組み込んでいくことが訓練であり、これを繰り返すことで危機に対応する力を磨いて高めていくことが必要だと考えます。
ざんねんなBCPあるある―原因と対処の他の記事
おすすめ記事
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/08/26
ゲリラ雷雨の捕捉率9割 民間気象会社の実力
突発的・局地的な大雨、いわゆる「ゲリラ雷雨」は今シーズン、全国で約7万8000 回発生、8月中旬がピーク。民間気象会社のウェザーニューズが7月に発表した中期予想です。同社予報センターは今年も、専任チームを編成してゲリラ雷雨をリアルタイムに観測中。予測精度はいまどこまで来ているのかを聞きました。
2025/08/24
スギヨ、顧客の信頼を重視し代替生産せず
2024年1月に発生した能登半島地震により、大きな被害を受けた水産練製品メーカーの株式会社スギヨ(本社:石川県七尾市)。その再建を支えたのは、同社の商品を心から愛する消費者の存在だった。全国に複数の工場があり、多くの商品について代替生産に踏み切る一方、主力商品の1つ「ビタミンちくわ」に関しては「能登で生産している」という顧客の期待を重視し、あえて現地工場の再開を待つという異例の判断を下した。結果として、消費者からの強い支持を受け、ビタミンちくわは過去最高近い売り上げを記録している。一方、BCPでは大規模な地震などが想定されていないなどの課題も明らかになった。同社では今、BCPの立て直しを進めている。
2025/08/24
ゲリラ豪雨を30分前に捕捉 万博会場で実証実験
「ゲリラ豪雨」は不確実性の高い気象現象の代表格。これを正確に捕捉しようという試みが現在、大阪・関西万博の会場で行われています。情報通信研究機構(NICT)、理化学研究所、大阪大学、防災科学技術研究所、Preferred Networks、エムティーアイの6者連携による実証実験。予測システムの仕組みと開発の経緯、実証実験の概要を聞きました。
2025/08/20
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方