2024/09/28
防災・危機管理ニュース
元日の地震からの再建途中、再び石川県・能登半島北部を襲った豪雨から28日で1週間がたった。2度にわたり甚大な被害を受けた輪島市の住民らは「何も考えられない」と先々への不安を漏らした。
地震で自宅が全壊し、市内の仮設住宅で暮らしていた無職男性(76)は、今回の大雨で床上浸水の被害に遭い、避難所に身を寄せた。地震後は小松市へ2次避難したが知り合いも少なく、「やっぱり輪島に帰りたい」と5月に戻ったところだったという。
仮設住宅は改修予定だが、ハザードマップでは洪水浸水想定区域にある。男性は「何十年に一度の大雨と言われても、次がないという保証はない。このままでは住めない」と不安を口にした。
市内の災害廃棄物の集積所となっている「マリンタウンボートパーク」の駐車場にはトラックが列をつくり、使えなくなった家財道具などが次々と運び込まれた。
飲食店を営む木村隆明さん(52)も店の冷蔵庫や食器を捨てるため何度も往復した。店は地震の被害で一時休業したが、地元の常連客に背中を押され、4月下旬に再開したばかりだった。
大雨で店内には高さ160センチまで泥水が押し寄せ、新調した設備は壊れた。自宅も浸水し2階で暮らしているが、将来への不安で眠れない日々を送っているという。木村さんは「また店をやるならここがいいけど、今は何も考えられない」と肩を落とした。
「この家を直す価値があるのか」。介護施設職員の山崎政信さん(55)の自宅の床下には泥やごみが入り込んだ。掃除を進めているが、軽トラックが手配できず作業は遅々として進まない。「家をつぶしてどこかに行った方が早いんじゃないかと考えてしまう」と言いながら、家財道具の泥を落としていた。
〔写真説明〕泥で汚れた家財道具を洗う山崎政信さん=28日午後、石川県輪島市
(ニュース提供元:時事通信社)

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