2024/10/07
防災・危機管理ニュース
大分県全域の119番を一括して受け付ける消防指令センターの本格運用が、1日から始まった。都道府県単位で通報受け付けを一元化するのは全国で初めて。通報から出動までの手順も統一することで、現場への出動時間の短縮が期待されている。
センターは、大分市の複合公共施設内に設置。県内14の消防局・消防本部の職員計49人から成り、うち42人が通信指令員として119番を受け付ける。通常は14人態勢で対応し、通報が集中する大規模災害などが起きた際には36人に増やすことで、これまでよりつながりやすくなるという。
また、通報時に映像を送ってもらうシステムを導入し、詳細な被害状況の確認も可能とした。現場への出動時間を短縮するため、これまで局・本部ごとに異なっていた通報から出動までの手順も一元化し、事故状況を把握したらすぐに出動指令を出す方式にした。古沢雄一センター長は「(試行期間中は)これまで2分程度かかっていた出動までの時間が約45秒に短縮された」と話す。
課題も見つかっている。大規模災害時には機動的な対応が必要なため、各消防局・本部からは「現地で救急車両の出動を判断するなどの運用をしたい」との声が根強い。また、職員の給与は派遣元の消防局・本部が基準となるため、「同じ仕事をしているのに差が生じる」(消防関係者)とモチベーション維持に不安を示す声も上がる。
システムの更新費用が高額なことや、現場の人員充実を図る観点から、全国でも消防指令センターの共同運用は広がっている。総務省消防庁によると、4月時点で31府県の212消防本部で共同運用を実施。同庁は共同運用推進のため、補助金などの財政支援も行う。同庁担当者は「大分県の取り組みは画期的だ。共同運用が広がるよう支援を続ける」と話した。
〔写真説明〕大分県全域の119番を一括して受け付ける「おおいた消防指令センター」=1日午前、大分市
(ニュース提供元:時事通信社)

防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/07/15
-
-
ランサムウェアの脅威、地域新聞を直撃
地域新聞「長野日報」を発行する長野日報社(長野県諏訪市、村上智仙代表取締役社長)は、2023年12月にランサムウェアに感染した。ウイルスは紙面作成システム用のサーバーとそのネットワークに含まれるパソコンに拡大。当初より「金銭的な取引」には応じず、全面的な復旧まで2カ月を要した。ページを半減するなど特別体制でなんとか新聞の発行は維持できたが、被害額は数千万に上った。
2025/07/10
-
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2025/07/05
-
-
-
-
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方