2025/01/28
防災・危機管理ニュース
【オシフィエンチム時事】ナチス・ドイツによる第2次大戦中のユダヤ人大虐殺(ホロコースト)の歴史継承は、戦後80年を迎え、忘却の懸念にさらされている。当時を直接知る生存者が減る一方、若者の間ではSNSを通じて「否定論」が広がる。
「ホロコーストは作り話で(実際には)起きていない」。ユダヤ人組織「ユダヤ人対独物的請求会議」が23年11月に実施した聞き取り調査によると、18~29歳の回答者のうち、この考えに同意した割合は、ルーマニアで15%、フランスで8%、米国で5%に上った。600万人という犠牲者の数について、「大幅に誇張されている」と回答した若者は、ルーマニアで半数以上、フランスで3人に1人だった。いずれも成人全体と比べて高い割合だ。
こうした懐疑や否定論はSNSを通じて広まっている。偽情報対策が求められている一方で、SNS各社はこのところ、米メタ(旧フェイスブック)が外部機関によるファクトチェックを廃止するなど、「表現の自由」を盾に投稿管理の緩和を進めている。人工知能(AI)が反ユダヤ主義的な主張を学習し、誤情報を拡散させる可能性も指摘され始めた。
生存者らは忘却にあらがい証言を続けている。アウシュビッツ強制収容所から生還した独北西部レーア在住のアルブレヒト・ワインベルクさん(99)は、今月20日に外国メディアの取材に応じ、「私たちがこの世からいなくなれば、本を読んで知るしかないが、それは同じではない」と肉声の重みを強調した。左腕に青黒くにじんだ入れ墨の番号は、収容生活を生々しく物語っている。
同会議によると、23年8月時点でホロコースト生存者は推計24万5000人。大半が80代で、肉声に触れる機会は年々少なくなっている。
〔写真説明〕外国メディアとの会見で、左腕に刻まれた入れ墨を見せるアウシュビッツ強制収容所生存者のアルブレヒト・ワインベルクさん=20日、ドイツ北西部レーア
(ニュース提供元:時事通信社)

防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
ランサムウェアの脅威、地域新聞を直撃
地域新聞「長野日報」を発行する長野日報社(長野県諏訪市、村上智仙代表取締役社長)は、2023年12月にランサムウェアに感染した。ウイルスは紙面作成システム用のサーバーとそのネットワークに含まれるパソコンに拡大。当初より「金銭的な取引」には応じず、全面的な復旧まで2カ月を要した。ページを半減するなど特別体制でなんとか新聞の発行は維持できたが、被害額は数千万に上った。
2025/07/10
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/07/08
-
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2025/07/05
-
-
-
-
-
-
「ビジネスイネーブラー」へ進化するセキュリティ組織
昨年、累計出品数が40億を突破し、流通取引総額が1兆円を超えたフリマアプリ「メルカリ」。オンラインサービス上では日々膨大な数の取引が行われています。顧客の利便性や従業員の生産性を落とさず、安全と信頼を高めるセキュリティ戦略について、執行役員CISOの市原尚久氏に聞きました。
2025/06/29
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方