2014/12/19
防災・危機管理ニュース
全国に約53万カ所ある土砂災害危険箇所について、自治体が避難場所・避難経路について26%が住民周知されていないことが12月12日、国土交通省の調査で分かった。避難訓練を実施している割合も35%にとどまり、国交省は危険カ所の周知徹底や警戒避難体制の重要性を呼びかけている。
国交省は今年8月に発生し、74人が死亡した広島市の土砂災害を受け、9月に土砂災害危険箇所を有する全国の1594市町村において、警戒避難体制に関しての緊急点検を実施した。調査の結果によると、これまで危険性を1回でも周知したことがある危険箇所の割合は99%だったが、毎年周知している危険箇所の割合は55%。避難場所・経路を1回でも周知したことがある割合は74%で、毎年周知している割合は41%で、避難場所・経路を1回も周知していない危険箇所が26%あることがわかった。国交省は「(危険箇所について)概ね全カ所について、1度は周知しているものの、住民に十分伝わっていない可能性がある。(避難場所・経路について)1度も周知していない箇所がある」とする。
訓練に関する調査では、避難訓練を実施しているのは全体の35%。毎年、防災訓練を実施しているのは19%にとどまった。国交省は防災訓練の実施率の低さを指摘している。
国交省は今後、危険箇所や避難場所・経路について、住民の認識状況を踏まえたうえで、土砂災害防止月間や全国防災訓練を通じて継続的に周知を行うよう地方公共団体に働きかける。また地方公共団体への支援策として、国交省、消防庁において土砂災害を対象とした全国防災訓練の共同開催や、全国防災訓練の実施方針を見直すほか、先進事例集の作成・配布を予定している。
土砂災害危険箇所の行政の体制整備に係る緊急点検結果と対応方針について(国交省)
http://www.mlit.go.jp/report/press/mizukokudo03_hh_000843.html
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/06/17
-
サイバーセキュリティを経営層に響かせよ
デジタル依存が拡大しサイバーリスクが増大する昨今、セキュリティ対策は情報資産や顧客・従業員を守るだけでなく、DXを加速させていくうえでも必須の取り組みです。これからの時代に求められるセキュリティマネジメントのあり方とは、それを組織にどう実装させるのか。東海大学情報通信学部教授で学部長の三角育生氏に聞きました。
2025/06/17
-
-
入居ビルの耐震性から考える初動対策退避場所への移動を踏まえたマニュアル作成
押入れ産業は、「大地震時の初動マニュアル」を完成させた。リスクの把握からスタートし、現実的かつ実践的な災害対策を模索。ビルの耐震性を踏まえて2つの避難パターンを盛り込んだ。防災備蓄品を整備し、各種訓練を実施。社内説明会を繰り返し開催し、防災意識の向上に取り組むなど着実な進展をみせている。
2025/06/13
-
「保険」の枠を超え災害対応の高度化をけん引
東京海上グループが掲げる「防災・減災ソリューション」を担う事業会社。災害対応のあらゆるフェーズと原因に一気通貫の付加価値を提供するとし、サプライチェーンリスクの可視化など、すでに複数のサービス提供を開始しています。事業スタートの背景、アプローチの特徴や強み、目指すゴールイメージを聞きました。
2025/06/11
-
-
その瞬間、あなたは動けますか? 全社を挙げた防災プロジェクトが始動
遠州鉄道株式会社総務部防災担当課長の吉澤弘典は、全社的なAI活用の模索が進む中で、社員の防災意識をより実践的かつ自分ごととして考えさせるための手段として訓練用のAIプロンプトを考案した。その効果は如何に!
2025/06/10
-
-
緊迫のカシミール軍事衝突の背景と核リスク
4月22日にインド北部のカシミール地方で起こったテロ事件を受け、インドは5月7日にパキスタン領内にあるテロリストの施設を攻撃したと発表した。パキスタン軍は報復として、インド軍の複数の軍事施設などを攻撃。双方の軍事行動は拡大した。なぜ、インドとパキスタンは軍事衝突を起こしたのか。核兵器を保有する両国の衝突で懸念されたのは核リスクの高まりだ。両国に詳しい防衛省防衛研究所の主任研究官である栗田真広氏に聞いた。
2025/06/09
-
危険国で事業展開を可能にするリスク管理
世界各国で石油、化学、発電などのプラント建設を手がける東洋エンジニアリング(千葉市美浜区、細井栄治取締役社長)。グローバルに事業を展開する同社では、従業員の安全を最優先に考え、厳格な安全管理体制を整えている。2021年、過去に従業員を失った経験から設置した海外安全対策室を発展的に解消し、危機管理室を設立。ハード、ソフト対策の両面から従業員を守るため、日夜、注力している。
2025/06/06
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方