2025/04/11
防災・危機管理ニュース
13日に開幕する大阪・関西万博の警備に向け、警察当局は大阪府警を中心に綿密に準備を進めてきた。12日の開会式は全国からの特別派遣部隊を含め、最大1万人態勢で対応。184日間に及ぶ期間中には参院選が予定されているほか、自然災害への備えも求められる。
全国警察を挙げて数万人規模の警備態勢を組んだ近年の国際行事と比較しても、万博警備の難易度は高い。一番の要因は開催期間の長さだ。2019年のG20大阪サミット、23年のG7広島サミットは数日間。21年の東京五輪・パラリンピックでも45日間だった。
同大会や国際会議などの大型警備に多く携わってきた府警の岩下剛本部長は、2月のシンポジウムで、「数日間の国際会議は内容を熟知した少数のリーダーを中心に24時間態勢で対応することも可能」と指摘。1カ月以上にわたる国際大会でも「通常より密な対応を機動隊にしてもらうことができる」とした。しかし、半年間に及ぶ万博警備については、「指揮官を多くの職員で交代する必要がある。有事の際に誰が担当しても同じレベルで適切な初動対応をできることが肝要」と強調した。
同じく半年間に及んだ05年の愛知万博と比べ、警戒対象が大幅に増えた点も特徴的だ。不安定な国際情勢を背景にしたテロの脅威、技術が進歩したドローンやサイバー攻撃を踏まえた対策も必要となった。ある府警幹部は「さまざまな脅威を想定し、どう対応するか準備を進めてきた」と話す。
また、期間中には参院選が予定されている。昨年の衆院選では多くの警護対象者が全国1200カ所以上で街頭演説しており、同規模の警護を万博警備と並行して求められる可能性がある。毎年のように起きる豪雨災害などへの対応も想定され、警察組織の総合力が試される。
〔写真説明〕大阪・関西万博会期中の要人警護や雑踏警備に当たる会場警察隊の発足式=3月27日、大阪市此花区
(ニュース提供元:時事通信社)

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