2025/05/11
防災・危機管理ニュース
【ニューデリー時事】インド軍が7日未明に始めたパキスタン領内への軍事作戦から4日目。両国とも激しくののしり合い、外交・軍事両面で報復合戦の様相を呈していた。しかし、いずれも本音では衝突の激化を望んでいなかった。
きっかけとなったテロは4月22日、係争地カシミール地方のインド側支配地域で発生した。インド国内では、風光明媚(めいび)な避暑地で観光客ら26人が殺害された凶行に衝撃が走った。
インド政府はテロの背後にパキスタン政府がいると断定。国境閉鎖や両国にまたがるインダス川の水資源利用協定の履行停止など報復措置を打ち出し、パキスタン政府も対抗措置を取った。
インドは今月7日、国内世論に押される形で、カシミールを含むパキスタン領内9カ所の攻撃に踏み切った。パキスタンは即座に「犠牲者の血の一滴まで復讐(ふくしゅう)する」(シャリフ首相)と報復を宣言した。
ただ、インド側は一貫して「(標的は)テロリストの施設」であり、軍事施設ではないと繰り返した。反撃されれば同じ規模で応戦すると警告しつつも、エスカレートさせる意図はないと明言していた。
一方、パキスタンは近年、国内で活動を活発化させる過激派の対応に手を焼いていた。そもそも通常戦力で大きな差がある隣国インドと本気で事を構えるのは避けたかった。10日の反撃作戦により、インド側に相応の損害を与えたと強調。国内向けにも面目を保ち、矛を収める契機を探っていたとみられる。
〔写真説明〕10日、カシミール地方のインド側支配地域ジャム・カシミール州の町(AFP時事)
(ニュース提供元:時事通信社)

防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
-
入居ビルの耐震性から考える初動対策退避場所への移動を踏まえたマニュアル作成
押入れ産業は、「大地震時の初動マニュアル」を完成させた。リスクの把握からスタートし、現実的かつ実践的な災害対策を模索。ビルの耐震性を踏まえて2つの避難パターンを盛り込んだ。防災備蓄品を整備し、各種訓練を実施。社内説明会を繰り返し開催し、防災意識の向上に取り組むなど着実な進展をみせている。
2025/06/13
-
「保険」の枠を超え災害対応の高度化をけん引
東京海上グループが掲げる「防災・減災ソリューション」を担う事業会社。災害対応のあらゆるフェーズと原因に一気通貫の付加価値を提供するとし、サプライチェーンリスクの可視化など、すでに複数のサービス提供を開始しています。事業スタートの背景、アプローチの特徴や強み、目指すゴールイメージを聞きました。
2025/06/11
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/06/10
-
その瞬間、あなたは動けますか? 全社を挙げた防災プロジェクトが始動
遠州鉄道株式会社総務部防災担当課長の吉澤弘典は、全社的なAI活用の模索が進む中で、社員の防災意識をより実践的かつ自分ごととして考えさせるための手段として訓練用のAIプロンプトを考案した。その効果は如何に!
2025/06/10
-
-
緊迫のカシミール軍事衝突の背景と核リスク
4月22日にインド北部のカシミール地方で起こったテロ事件を受け、インドは5月7日にパキスタン領内にあるテロリストの施設を攻撃したと発表した。パキスタン軍は報復として、インド軍の複数の軍事施設などを攻撃。双方の軍事行動は拡大した。なぜ、インドとパキスタンは軍事衝突を起こしたのか。核兵器を保有する両国の衝突で懸念されたのは核リスクの高まりだ。両国に詳しい防衛省防衛研究所の主任研究官である栗田真広氏に聞いた。
2025/06/09
-
危険国で事業展開を可能にするリスク管理
世界各国で石油、化学、発電などのプラント建設を手がける東洋エンジニアリング(千葉市美浜区、細井栄治取締役社長)。グローバルに事業を展開する同社では、従業員の安全を最優先に考え、厳格な安全管理体制を整えている。2021年、過去に従業員を失った経験から設置した海外安全対策室を発展的に解消し、危機管理室を設立。ハード、ソフト対策の両面から従業員を守るため、日夜、注力している。
2025/06/06
-
福祉施設の使命を果たすためのBCPを地域ぐるみで展開災害に強い人づくりが社会を変える
栃木県の社会福祉法人パステルは、利用者約430人の安全確保と福祉避難所としての使命、そして災害後も途切れない雇用責任を果たすため、現在BCP改革を本格的に推進している。グループホームや障害者支援施設、障害児通所支援事業所、さらには桑畑・レストラン・工房・農園などといった多機能型事業所を抱え、地域ぐるみで「働く・暮らす・つながる」を支えてきた同法人にとって、BCPは“災害に強い人づくり”を軸にした次の挑戦となっている。
2025/06/06
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方