第7回 海外子会社経営リスク管理編(3)
日本と欧米の「経営」の違い
高原 彦二郎
出光興産株式会社に入社。ロンドン、香港副支店長、北京所長、本社課長を歴任。海外現地法人の経営管理、内部統制、経営監査、中東駐在員のクライシスマネジメント、ビジネス・リスクマネジメント等を経験。2005年コンサルビューション株式会社を設立し、海外に進出した日系企業のリスクソリューションを中心にコンサルティングを行っている。中小企業診断士。事業承継士。第三者承継士。人を大切にする経営大学院(EMBA)。
2025/12/07
海外事業を成功させるリスク管理とは
高原 彦二郎
出光興産株式会社に入社。ロンドン、香港副支店長、北京所長、本社課長を歴任。海外現地法人の経営管理、内部統制、経営監査、中東駐在員のクライシスマネジメント、ビジネス・リスクマネジメント等を経験。2005年コンサルビューション株式会社を設立し、海外に進出した日系企業のリスクソリューションを中心にコンサルティングを行っている。中小企業診断士。事業承継士。第三者承継士。人を大切にする経営大学院(EMBA)。
前回のコラム第6回ー海外子会社経営リスク管理編(2)では、不正に弱い日本企業の経営管理上の特徴、直接統治の弊害と、日常管理における不正発見に役立つリスク予兆の見分け方を述べました。
今回からは、海外子会社経営管理の枠組みを見て行きます。
そもそも経営管理とは、何を意味するのでしょうか? 以下に経営管理の概念的な枠組みを載せます。以前、連載の中で、企業を「営利性を基盤としてリスクテイクする事業体」と定義することができる(FRC:英国財務報告評議会)と述べましたが、この定義に照らし合わせますと、経営管理の目的は、ビジネスリスクを経営管理の大きな監視対象として「ビジネスリスクの最適化による最適な利益獲得」と定義することができます。
経営管理の枠組みも、この経営管理の定義に沿った形でできあがっています。図に見るように、企業の存在意義を示す「経営理念」、理念に沿い、企業が目指すべき方向性を具体的かつ分かりやすく示した「経営ビジョン」を2つを大きな土台として、経営監視を目的とする「コーポレートガバナンス」の枠組みの上に、ビジネスリスクを管理するプロセスの方法論・考え方として「リスクマネジメント」の考え方を採用し、具体的な手法としては、内部統制(内部牽制と内部監査)の手法が使われます。
後ほど詳しく述べますが、この経営管理の枠組みは、主に1600年の欧米の東インド会社の発足時から、海外の利権をどのように守るのか、という発想から作られた枠組みと言え、海外利権を数百年にわたり守り続けるという経験のない日本人の我々には、頭では分かっても中々納得できない概念、枠組みと言えます。ただ、海外事業の現場は、日本ではなく、遠隔地である海外ですので、自社の海外の子会社の資産・利権をいかに守るか、という観点は欠かせません。学ぶべき点は学ぶという姿勢では大いに学び、自社の海外子会社の経営管理に利用する必要があると思います。
海外事業を成功させるリスク管理とはの他の記事
おすすめ記事
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2026/07/21
AIによるメール監査で悪意なき不正リスクを事前に検知
昨今、企業の不祥事が多発している。不正会計や金銭の着服、独占禁止法で禁止される談合やカルテルなどが発覚することで企業の信用が失墜し、業績悪化にいたるケースが多い。企業の不正を防ぐ方法で有効なのが、社内のメールモニタリング(メール監査)だ。国際訴訟・不正調査のパイオニアであるFRONTEO(東京都港区)は、リーガルテック分野で培ったノウハウから自社開発したAIエンジン「KIBIT(キビット)」をコア技術に、メール監査で企業の不正リスクを検知するサービスを提供する。膨大な量の電子データから、どのように不正を発見し、未然に防ぐのか。代表取締役社長の守本正宏氏に話を聞いた。
2026/07/13
困難な工場のサイバーセキュリティ強化机上訓練で隠れていた現場力を発掘(参天製薬)
製造業にとって最も避けたい、売上に直結するサイバー攻撃による工場の稼働停止。しかし、セキュリティ対策の導入は工場ならではの困難があり、簡単にはいかない。参天製薬(大阪市北区、伊藤 毅代表取締役社長)は、サプライアーのランサムウェア感染をきっかけに、2017年から国内外の工場のサイバーセキュリティ対策を強化。工場との対話を重ね、着実に進めている。
2026/07/10
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2026/07/05
「情シス任せ」「コンサル任せ」では終わる
社会機能の維持に欠かせない業種でサイバーインシデントが相次いでいます。事業停止の影響は一企業のビジネスの域を超えサプライチェーン全体に波及。いまやセキュリティは経営の重要課題です。企業を取り巻くサイバーリスクと求められる対策について、日立ソリューションズの扇健一氏と辻󠄀敦司氏に聞きました。
2026/07/03
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方