【ニューヨーク時事】米南部テキサス州で発生した大雨による洪水の死者が100人を超えた。記録的な大雨で川が急激に増水したとみられるが、避難を促す警報が住民らに適切に伝わっていたか疑問が生じている。米メディアが7日報じた。
 被害が最も大きかったカー郡では4日早朝、数時間で数カ月分の雨量に相当する激しい雨が降り、川の水位が45分の間に約8メートル上昇した。同郡ではこれまでも頻繁に洪水が発生。屋外に警報用サイレンを設置することが過去に検討されたが、コストに対する懸念を理由に実現しなかった。
 テキサス州のパトリック副知事は7日、FOXニュースに対し「川沿いに洪水警報サイレンが設置されていれば助かった人がいた可能性がある」と述べ、事前の災害対策に不十分な点があったと認めた。
 NBCニュースによると、アボット同州知事は6日の記者会見で、国立気象局(NWS)が大雨や鉄砲水の可能性に関する警報を発していたものの、「洪水に慣れた住民にはその深刻さが十分に伝わっていなかったかもしれない」と説明。「鉄砲水の可能性があっても、高さ約9メートルに及ぶ水の壁が発生するとは誰も予期していなかった」と語った。
 NWSについては、トランプ政権が推し進めた政府機関の大規模な人員削減がスタッフ不足を招き、対応の遅れにつながった可能性が指摘されている。これについて、レビット大統領報道官は7日の記者会見で、NWSには十分な人員がいたと反論した。 
〔写真説明〕7日、米南部テキサス州の川で行方不明者を捜す救助隊員(AFP時事)

(ニュース提供元:時事通信社)