人工知能(AI)開発のオルツは28日、売上高を累計119億円過大に計上するなどの不正会計を行っていたとする調査報告書を公表した。創業者の米倉千貴社長が同日付で辞任。後任に日置友輔最高財務責任者(CFO)が就任した。
 報告書によると、不正が行われたのは2021年12月期から24年12月期で、各期の売上高を78~91%過大計上していた。主力のAIを使った議事録要約サービスで、販売代理店に広告費などの名目で支払った資金を、架空の売り上げとして回収する「循環取引」を行っていた。
 同社は24年10月に東証グロース市場に上場したが、上場審査で提出する書類などを改ざんしていたことも判明。上場廃止もあり得る「監理銘柄」に指定された。報告書をまとめた第三者委員会は「上場企業の経営者が備えるべき誠実性が欠如している」と批判した。
 米倉氏は「責任を明確化するため、辞任すべきと判断した」とのコメントを発表した。今後は日置CFOが社長を兼務するが、第三者委は日置氏も不正に関与したと指摘している。 

(ニュース提供元:時事通信社)