日本時間30日午前8時25分ごろ、ロシア・カムチャツカ半島付近で大地震があり、気象庁は同9時40分に北海道から紀伊半島にかけての太平洋側沿岸と伊豆・小笠原諸島に津波警報を発表した。その後、午後6時半に北海道から福島県の太平洋側沿岸を除く地域を注意報に、同8時45分に残る地域を注意報に切り替えた。
 予想された津波の高さは最大3メートル。岩手県久慈市の久慈港で午後1時52分に1.3メートルの津波が観測された。同7時45分までに、北海道根室市と青森県八戸市、東京・八丈島で80センチ、宮城県石巻市、仙台市、福島県相馬市、鹿児島県・種子島で70センチなど、北海道から沖縄までの各地で津波を観測した。
 北海道は、避難の長期化などを見据え、津波警報や注意報が出された15市52町2村に災害救助法の適用を決めた。
 林芳正官房長官は同日午前の記者会見で、ライフラインや原子力施設への被害の報告は受けていないと話した。
 三重県熊野市では午前10時10分ごろ、軽乗用車を運転していた女性(58)が道路脇の崖下に転落し、約3時間後に死亡が確認された。家族に事故直前、崖上への避難を示唆するような連絡をしていたといい、県警は津波警報との関係を調べている。このほか、北海道白老町で女性が避難中に転倒し、軽傷を負った。
 気象庁によると、推定される地震の規模=マグニチュード(M)は8.7。米地質調査所は8.8としている。同庁は当初8.0と推定し、午前8時35分すぎに津波注意報を発表したが、その後上方修正し、津波警報に切り替えた。
 また、北海道のオホーツク海側と日本海側、青森県の日本海側、東京湾、四国や九州の太平洋側、奄美、沖縄などの沿岸にも津波注意報が発表された。
 同庁の清本真司・地震津波対策企画官は30日夜の記者会見で、「注意報の解除は31日朝ごろまで状況を見て判断する」と述べた。
 この大地震では北海道の釧路市などで震度2の揺れがあったほか、北海道から九州にかけて震度1を観測する所があった。 
〔写真説明〕ロシア・カムチャツカ半島付近を震源とする地震について、記者会見する気象庁の清本真司地震津波対策企画官=30日午前、気象庁
〔写真説明〕ロシア・カムチャツカ半島付近の大地震で津波警報が発表されたことに伴う在来線の運転見合わせの表示=30日午後、JR仙台駅

(ニュース提供元:時事通信社)