情報伝達者によるナッジ
10月7日配信「中澤・木村が斬るニュース解説」より

大友 章司
北海道生まれ。名古屋大学大学院環境学研究科博士後期課程修了、博士(心理学)(名古屋大学)。専門はリスク心理学、応用心理学。災害時の避難行動や災害復興の心理プロセスに関する研究の他、消費者行動の心理学的研究なども行なっている。海外の学術誌などの論文多数。著書に『リスクガヴァナンスの社会心理学』など。名古屋市地域特性に応じた防災力向上検討委員会アドバイザー委員等を歴任。
2025/10/07
リスクに効く行動経済学
大友 章司
北海道生まれ。名古屋大学大学院環境学研究科博士後期課程修了、博士(心理学)(名古屋大学)。専門はリスク心理学、応用心理学。災害時の避難行動や災害復興の心理プロセスに関する研究の他、消費者行動の心理学的研究なども行なっている。海外の学術誌などの論文多数。著書に『リスクガヴァナンスの社会心理学』など。名古屋市地域特性に応じた防災力向上検討委員会アドバイザー委員等を歴任。
毎週火曜日、朝9時から30分間、PRO会員向けに生配信している「中澤・木村が斬る今週のニュース解説」。10月7日に配信した、関東学院大学准教授の大友章司氏による「リスクに効く行動経済学」では、情報伝達者によるナッジについて解説いただきました。
人は、専門家やインフルエンサーといった権威のある、あるいは権威があると思われる人に説得されやすい傾向があります。
権威の原理とは、自分の意に反する要求でも、権威者からの要求には服従するような強い社会的な圧力が存在することです。この権威の影響について、有名な心理学の実験があります。1970年代に行われたアイヒマン実験とよばれている研究です。
実験では、罰が教育効果に及ぼす影響という課題で実験に参加してもらいます。生徒役と教師役に分かれて、生徒役の参加者が記憶課題を間違った際に、罰として電気ショックを与えるように、実験者から命令をされます。実際には、生徒役はさくらで、電気ショックも本当は電気が流れていません。生徒役のさくらが、電気ショックを受けたように演技をしています。実験の本当の目的は、実験者から命令された際に、教師役となっている参加者が、どれくらいの電圧まで電気ショックを与えるかを、明らかにすることです。ちなみに、強い衝撃をもたらす150ボルト以上の電気ショックが与えられると、生徒役の人は絶叫するように演技します。結果は、150ボルト以上の電気ショックを与えた人がが83%もいました。
こうした権威ある人の発言に影響されやすいという心理を用いたのが情報伝達者によるナッジです。
防災やリスク行動を高める上で、たとえば重要なことは社長から発言してもらう、あるいは外部のコンサルに発言してもうなど、社員教育でも活用できそうです。
番組の内容は、アーカイブからご視聴いただけます!
→https://www.risktaisaku.com/category/news_commentary/
おすすめ記事
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/10/07
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2025/10/05
カムチャツカ半島地震 津波対応振り返り【専門家】
7月30日、ロシア・カムチャツカ半島付近の地震による津波が日本列島に到達。広い範囲で津波警報が発表されました。突然の警報に戸惑った企業も多いのではないでしょうか。南海トラフ地震では、短時間でより大きな津波が襲います。教訓として残ったものは何か。企業の振り返りと専門家へのインタビューを通じ、津波対策の課題と改善点を探ります。
2025/09/24
カムチャツカ半島地震 津波対応振り返り【企業】
7月30日、ロシア・カムチャツカ半島付近の地震による津波が日本列島に到達。広い範囲で津波警報が発表されました。突然の警報に戸惑った企業も多いのではないでしょうか。南海トラフ地震では、短時間でより大きな津波が襲います。教訓として残ったものは何か。企業の振り返りと専門家へのインタビューを通じ、津波対策の課題と改善点を探ります。
2025/09/19
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方