毎週火曜日、朝9時から30分間、PRO会員向けに生配信している「中澤・木村が斬る今週のニュース解説」。10月7日に配信した、関東学院大学准教授の大友章司氏による「リスクに効く行動経済学」では、情報伝達者によるナッジについて解説いただきました。

人は、専門家やインフルエンサーといった権威のある、あるいは権威があると思われる人に説得されやすい傾向があります。

権威の原理とは、自分の意に反する要求でも、権威者からの要求には服従するような強い社会的な圧力が存在することです。この権威の影響について、有名な心理学の実験があります。1970年代に行われたアイヒマン実験とよばれている研究です。

実験では、罰が教育効果に及ぼす影響という課題で実験に参加してもらいます。生徒役と教師役に分かれて、生徒役の参加者が記憶課題を間違った際に、罰として電気ショックを与えるように、実験者から命令をされます。実際には、生徒役はさくらで、電気ショックも本当は電気が流れていません。生徒役のさくらが、電気ショックを受けたように演技をしています。実験の本当の目的は、実験者から命令された際に、教師役となっている参加者が、どれくらいの電圧まで電気ショックを与えるかを、明らかにすることです。ちなみに、強い衝撃をもたらす150ボルト以上の電気ショックが与えられると、生徒役の人は絶叫するように演技します。結果は、150ボルト以上の電気ショックを与えた人がが83%もいました。

こうした権威ある人の発言に影響されやすいという心理を用いたのが情報伝達者によるナッジです。

防災やリスク行動を高める上で、たとえば重要なことは社長から発言してもらう、あるいは外部のコンサルに発言してもうなど、社員教育でも活用できそうです。

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