配送業務を委託した運送業者に荷物の積み降ろしなどの作業を無償でさせていたとして、公正取引委員会は12日、下請法違反(不当な経済上の利益の提供要請)で、東証プライム上場の「センコーグループホールディングス」傘下の物流大手センコー(大阪市)に再発防止などを求める勧告を出した。こうした行為に対して公取委が勧告するのは初めて。
 公取委によると、同社は2022年12月以降、荷主から請け負った配送を再委託した下請け計36業者に対し、荷物を積み降ろす荷役作業や荷待ち時の料金を支払っていなかった。中には2時間以上待たせていたケースもあったという。
 公取委は同社に再発防止に加え、荷役などの相当代金を業者に支払うよう求めた。
 物流業界では、トラック運転手の残業規制が強化された「2024年問題」により、輸送力の低下が懸念されている。公取委は立場の弱い下請け業者が不利益を被らないよう監視を続けている。
 センコーは勧告について謝罪した上で、「コンプライアンスの一層の強化と再発防止に努める」などとするコメントを出した。 
〔写真説明〕公正取引委員会=東京都千代田区

(ニュース提供元:時事通信社)