東日本大震災の巨大地震と津波を引き起こした陸海のプレート境界では、陸のプレートの岩石が硬くて密度が高いのに対し、海のプレートの岩石は相対的に軟らかく、密度が低いことが分かった。この違いがプレート同士の境界にある断層が大きく滑る要因になったという。
 海洋研究開発機構などの国際研究チームが昨年秋、探査船「ちきゅう」で宮城県沖の日本海溝に近い海底を境界断層の下まで掘削し、採取した岩石を分析。成果を18日付の米科学誌サイエンス電子版に発表した。
 日本海溝では、陸のプレートの下に海のプレートが年間約10センチのペースで沈み込んでいる。陸のプレートの先端付近は引きずられて陸側に押し込まれるため、岩石が圧縮されて硬く、密度が高くなる。この状態が長年続くと限界に達し、元に戻ろうとする。
 東日本大震災の際は先端付近が最大約50メートルも沖合方向へ移動するとともに、海底が同約10メートル隆起して巨大地震と津波を引き起こした。
 掘削場所では、境界断層の厚さはわずか約1センチだった。岩石が急激な滑りで細かく粉砕され、粘土鉱物が多い。また、断層には凹凸があり、調査できた長さ約100メートルの範囲では、上下方向に最大15メートルの変動があった。
 海洋機構の奥田花也研究員は「境界断層は東日本大震災の前にも滑って地震を起こした可能性があり、その場合はさらに滑りやすくなる」と説明した。境界断層に凹凸があると滑りにくくなると考えられるが、大震災では広い範囲が一気に滑ってマグニチュード9.0にもなったため、局所的な凹凸は障害にならなかったとの見方を示した。 

(ニュース提供元:時事通信社)