【ニューデリーAFP時事】インドで記録的な熱波が続く中、電力需要が急増し、発電量が過去最高を更新している。電力省は22日、需要ピークが4日連続で過去最高に達したと明らかにした。

 同省によると、22日午後3時45分時点の電力需要は270.82ギガワットに達し、前日の265.44ギガワットを上回った。需要増加の背景には猛暑による冷房機器の使用急増があるとみられる。政府は、供給を維持できているとしているが、

 首都ニューデリーでは22日、気温が45.3度を記録。北部を中心に広い地域で45度前後の危険な暑さが続いており、人々の生活や経済活動に大きな影響が出ている。

 電源構成を見ると、火力発電(主に石炭)が全体の62%を占め、太陽光が22%、風力と水力がそれぞれ5%となっている。需要急増への即応力から火力への依存がなお高い構造が浮き彫りとなっている。

 ◇各地で停電

政府は「需要は十分に満たされている」と強調するが、必ずしも安定供給が実現しているわけではない。SNS上では、一部地域で停電が発生しているとの報告が相次いでいる。

 専門家によると、高温環境では老朽化した送電線や変圧器に大きな負荷がかかり、設備トラブルが発生しやすくなる。電力自体が足りていても、配電網の制約によって局地的な停電が起きるケースがある。

 特に都市部ではエアコンの使用が急増し、ピーク時の電力負荷が急激に高まるため、停電リスクが一段と高まる傾向がある。

 ◇熱波の長期化と気候変動

 インドでは例年4月から6月にかけて高温となるが、近年は熱波の強度や頻度が増している。科学者は、気候変動の影響により熱波が長期化し、より頻繁かつ激甚化していると指摘している。

 気象当局によると、22日は北部ウッタルプラデシュ州バンダで47.6度を観測。週初めには48度を超える地区もあり、危険な暑さが継続している。

 インドの過去最高気温は2016年、ラジャスタン州パロディーで記録された51度で、世界的にも極めて高い水準だ。

 さらに、4月には世界で最も高温となった都市の上位50都市すべてがインド国内だったとの調査結果もある。

 ◇エネルギー政策とのジレンマ

 インドは温室効果ガス排出量で世界3位の国で、2070年までに排出量実質ゼロ(ネットゼロ)を目標に掲げている。

 一方で、今回のような電力需要急増局面では、依然として石炭火力に大きく依存せざるを得ない状況が続いている。再生可能エネルギーの比率は拡大しているものの、出力の安定性や調整能力の面で課題が残る。

 専門家は、エネルギー転換と電力安定供給の両立が今後の大きな課題になると指摘。送配電網の強化や蓄電技術の導入が不可欠との見方が強い。

 ◇猛暑が社会に広範な影響

 今回の熱波は電力市場にとどまらず、水資源や労働環境にも影響を及ぼしている。特に屋外労働者や低所得層では健康リスクが高まっており、都市部では生活コストの上昇要因ともなっている。

 人口約14億人を抱えるインドでは、気候変動と急速な都市化が重なり、暑さへの耐性が試されている。今後も極端な気象が常態化すれば、電力インフラや社会システム全体により大きな負荷がかかる。

 記録的な電力需要は、インド経済の成長と気候変動リスクの双方を映し出しており、そのバランスが問われている。(了)

(ニュース提供:時事通信 2026/05/22-16:54)

(ニュース提供元:時事通信社)