7月に入り、全国各地で豪雨災害の犠牲者を追悼する式典や慰霊行事が相次いで開かれている。近年、梅雨前線の停滞や線状降水帯による記録的な大雨が7月に集中し、多くの命が失われてきた。こうした災害の教訓を風化させないため、発災日に合わせて自治体や地域住民による追悼行事が毎年続けられている。

直近10年を振り返ると、2017年7月5日から6日にかけて発生した九州北部豪雨では、福岡県朝倉市や東峰村、大分県日田市などを中心に記録的な豪雨となり、大量の流木を伴う土石流や河川氾濫が発生した。消防庁の集計によると、福岡県で37人、大分県日田市で3人の計40人が死亡し、朝倉市で2人が行方不明となっている。毎年7月5日前後には朝倉市などで追悼式や献花が行われている。

2018年6月28日から7月8日にかけて発生した平成30年7月豪雨(西日本豪雨)は、広島県、岡山県、愛媛県など西日本を中心に未曽有の被害をもたらした。令和元年版防災白書によると、死者は237人(広島県115人、岡山県66人、愛媛県31人ほか)、行方不明者は8人に上る。消防庁のその後の集計(2019年8月20日時点、台風12号による被害を含む)では死者263人、行方不明者8人とされ、災害関連死を含めた死者は300人を超えたと見られている。

2020年7月3日から31日にかけて続いた令和2年7月豪雨では、7月4日に熊本県球磨川流域で甚大な被害が発生した。一連の豪雨による人的被害は死者84人、行方不明者2人(消防庁情報、2021年2月26日時点)で、このうち熊本県では65人が亡くなった。なお、熊本県の集計では、災害関連死2人を含め県内の死者は67人となっている。球磨村や人吉市では毎年7月4日に追悼式典が開かれ、災害の記憶を次世代へ伝える取り組みが続いている。

2021年7月3日には、静岡県熱海市伊豆山地区で大規模な土石流が発生した。犠牲者は災害関連死1人を含む28人に上り、上流部の盛り土の崩落が被害を拡大させた土石流災害として全国に衝撃を与え、その後の盛り土規制の強化にもつながった。毎年7月3日には熱海市などが主催する追悼式が開かれ、犠牲者への黙とうとともに防災への誓いが新たにされている。