2026/09/14
防災・危機管理ニュース
中部電力浜岡原発(静岡県)の地震想定に関するデータ不正問題で、同社は14日、外部弁護士で構成された調査委員会の報告書を公表した。想定する地震の揺れ(基準地震動)を過小評価した疑いがあるが、報告書は「経営層が浜岡原発審査のスケジュール遅延を批判、叱責した」とした上で、批判や叱責が原子力土建部の担当者らを不適切な行為へ駆り立てる要因たり得ると認定した。
調査委は、当時社長だった勝野哲会長が2019年にあった内部通報に関し、適切に対応しない方針の報告を受けたと認定。積極的な了承は認められないが「より慎重な判断を行うことが望ましかった」とした。同社は14日、浜岡原発3、4号機の再稼働審査の申請取り下げや林欣吾社長と勝野会長の退任を発表。林社長は記者会見で「強い不信を招いたことに改めて深くおわびする」と謝罪した。
報告書によると、当時社長の勝野氏ら経営層の一部は17年以降、「(土木担当者が説明してきた見通しと)まるっきり違うではないか」「当社の努力が足りないだけだ」などと、審査スケジュールの遅滞を批判、叱責した。
調査委は「担当者らが叱責を避けるために、原子力規制委員会から指摘を受ける可能性のある事項は開示しない方針を採る要因になったことは否めない」との見解を示した。一方、経営層による不正の指示は認定しなかった。
原因として、中部電社内の一部には重要性の高い目的の支障となる指摘を排除する傾向が見られたとし、「自分たちは正しいことをしている」という考え方の下に不適切行為を実行したなどと分析。こうした考え方を「独自の正当化理論」と定義し、「深い問題がある」と批判した上で、考え方の是正を再発防止策の中心に据えるよう求めた。
中部電は浜岡3、4号機再稼働の前提となる規制委の審査で、基準地震動策定に関して都合の良いデータを選びながら、妥当な手法で行ったかのように装っていた。規制委事務局の原子力規制庁が外部通報をきっかけに問題を把握し、同社と面談を開始した昨年5月以降、都合良く選んだデータを上書きするなど不正の隠蔽(いんぺい)を図ったことも判明した。
〔写真説明〕中部電力浜岡原発の(左から)1~4号機=2015年9月、静岡県御前崎市
〔写真説明〕浜岡原発の地震想定に関するデータ不正問題で、記者会見する中部電力の林欣吾社長(右端)ら=14日、名古屋市
(ニュース提供元:時事通信社)


防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2026/10/06
-
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2026/10/05
-
-
-
-
-
-
操作不要の防水板で水害リスクを低減
全国各地で、豪雨災害が頻発している。2026年8月13日には、千葉県内で記録的な大雨が発生し、大きな浸水被害をもたらした。「命を守る行動」が最優先事項ではあるが、建物の浸水被害も防ぎたい。望ましいのは、人も建物も守れる備えだ。防水板や防水扉の設計製造を行う宇根鉄工所(広島県東広島市)では、人手を介さず水の力で起きあがる浮力起伏式防水板を開発している。代表取締役社長の宇根利典さんに、水害リスクに対する備えを聞いた。
2026/09/28






※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方